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層孔虫はデボン紀の大量絶滅を生き延び、石炭紀に礁を形成! 礁生態系の定説を覆す新発見

2024年8月20日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇秋吉石灰岩から層孔虫の化石を発見し、層孔虫はデボン紀の大量絶滅を生き延び、石炭紀に礁を形成していたことを世界で初めて明らかに。
◇石炭紀における礁生態系の定説を覆す新発見。 

概要

層孔虫は、主にシルル紀からデボン紀(約4億4400万年前~3億5900万年前)にかけて繁栄した海の生物で、サンゴとともに海底で、地形的な高まりである「礁」を形成していました。デボン紀の後期に起きた大量絶滅は、層孔虫の繁栄に大きな影響を及ぼし、石炭紀(約3億5900万年前~2億9900万年前)の層孔虫はほとんど知られていません。そのため、デボン紀以後、層孔虫はどうなったのか、その詳細は明らかになっていません。

大阪公立大学大学院理学研究科の江﨑 洋一教授らの研究グループは、秋吉石灰岩(山口県)の石炭紀に形成された地層から層孔虫の化石を発見し、層孔虫が大規模な礁を形成していたことを世界で初めて突き止めました。本成果は、石炭紀における礁生態系の解釈を大きく覆すものです。

本研究成果は、2024年8月13日(火)に、米国地質学会が刊行する国際学術誌「GEOLOGY」のオンライン速報版に掲載されました。

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図(上)層孔虫の内部構造。「水平方向の層状構造」と「垂直方向の柱状構造」が顕著。
(下)層孔虫(黒色部)は他の生物(白色部)と相互に被覆し合い、上方に凸の構造を形成している。

大学院理学研究科 江﨑 洋一教授のコメント

今回の結論は、秋吉生物礁中の化石を詳細に観察した結果、自然に導かれたものです。しかし、その成果は、これまでの常識を超えるものでした。私は学生時代に指導教員から「教科書に載るような研究を目指しなさい」とアドバイスされました。今回の発見が、教科書の内容を書き換える研究になると期待しています。

掲載誌情報

【発表雑誌】GEOLOGY
【論文名】Post-Devonian re-emergence and demise of stromatoporoids as major reef-builders on a Carboniferous Panthalassan seamount
【著者】Yoichi Ezaki, Mitsuru Masui, Koichi Nagai, Gregory E. Webb, Koki Shimizu, Shota Sugama, Natsuko Adachi, Tetsuo Sugiyama
【掲載URL】https://doi.org/10.1130/G52420.1

資金情報

本研究は、日本学術振興会 「基盤研究C」(21K03738、22K03798)からの支援を受けて行われました。

用語解説

※層孔虫…炭酸カルシウムからなる「積み重なる層状の構造」と「内部の小さな孔」で構成される海綿動物(高石灰化海綿類)の一種。古生代では、シルル紀とデボン紀に礁の形成に大きく関与した。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院理学研究科
教授 江﨑 洋一(えざき よういち)
TEL:06-6605-3184
E-mail:ezaki[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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