最新の研究成果

ゲノム編集技術で ユーグレナが作り出す油脂のコントロールに成功!

2024年9月3日

  • 農学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇ゲノム編集ユーグレナを用いて、さまざまな種類のワックスエステルの生産に成功。
◇バイオ燃料原料に適した性質を持つワックスエステルの安定的な生産も可能に。
◇ユーグレナによる石油資源に依存しない脂質生産に向けた、基盤技術を確立。 

概要

ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は植物と動物の両方の性質を持つ微細藻類で、酸素のない環境で油脂の一種であるワックスエステルを生産します。ワックスエステルは脂肪酸とアルコールで構成されており、それぞれの炭素鎖の長さによってその性質が変化します。ワックスエステルはバイオ燃料原料としても使えますが、炭素鎖の長さを短くし、低温でも固まりにくい性質へ改良することが望ましいとされています。

大阪公立大学大学院農学研究科の中澤 昌美講師、永峰 佐久良氏(当時 博士前期課程2年)らの研究グループは、ゲノム編集したユーグレナを用いて、炭素鎖の長さを改変したさまざまな種類のワックスエステルの生産に成功しました。また、バイオ燃料原料に適した、炭素鎖の短いワックスエステルを安定的に作るユーグレナを生み出すことにも成功しました。本成果は、ワックスエステル生産源の一部を、石油資源から生物由来に置き換えるための基盤技術となることが期待されます。

本研究成果は、2024年8月9日(金)に国際学術誌「Bioresource Technology」のオンライン速報版に掲載されました。

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本研究では、ゲノム編集技術を用いてユーグレナの油脂組成を改変した変異株の獲得に成功しました。膨大な数の株を管理し、忍耐強く実験を積み重ねた結果、当初の期待をはるかに超える成果を収めることができました。先生方の献身的なご指導に深く感謝するとともに、この成果が資源循環型社会の実現に寄与することを願っています。

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永峰 佐久良氏
(当時 博士前期課程2年)

掲載誌情報

【発表雑誌】Bioresource Technology
【論文名】Genome editing-based mutagenesis stably modifies composition of wax esters synthesized by Euglena gracilis under anaerobic conditions
【著者】Sakura Nagamine, Rikuto Oishi, Mitsuhiro Ueda, Tatsuji Sakamoto, Masami Nakazawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.biortech.2024.131255

資金情報

本研究は、JST GteXバイオものづくり(JPMJGX23B0)、JSPS科研費基盤B(JP20H03119、JP24K01897)からの支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院農学研究科
講師 中澤 昌美(なかざわ まさみ)
TEL:072-254-9468
E-mail:mami[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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