最新の研究成果

脳腫瘍MRIレポートを用いてChatGPTと放射線科医の診断能力を比較

2024年9月2日

  • プレスリリース
  • 医学研究科

ポイント

◇ChatGPTは放射線科医と同等の診断能力を示した。
◇脳神経画像診断を専門とする神経放射線科医が作成したレポートを用いた場合、ChatGPTの診断精度はより高かった。
◇医療現場においてもChatGPTは専門家の管理の下で有効的に利用できる可能性がある。

概要

大阪公立大学大学院 医学研究科放射線診断学・IVR学の光山 容仁大学院生(博士後期課程3年)、人工知能学の植田 大樹准教授らの研究グループは、医療現場から収集した脳腫瘍術前MRI画像レポート(テキストのみ)150件について、ChatGPTと放射線科医の脳腫瘍診断能力を比較したところ、ChatGPTは放射線科医と同等の診断能力を示しました。さらに、神経放射線科医が作成した画像レポートを用いた場合、ChatGPTの診断精度はより高くなることが分かりました。本研究の結果から、ChatGPTは最終診断※1における神経放射線科医の診断補助ツールや、一般放射線科医のガイダンスツールとしての利用が期待できます。

本研究成果は、2024年8月28日、「European Radiology」にオンライン掲載されました。

pr202409_mitsu図 ChatGPTと放射線科医の診断精度の比較

ChatGPTの実際の医療現場における有用性について、協力施設の医療従事者、研究者、患者さんなど、たくさんの方々のご助力をいただいて示すことができました。今後もChatGPTをはじめとする大規模言語モデルの臨床応用の可能性を探求してまいります。

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     光山 容仁大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】 European Radiology
【論文名】 Comparative analysis of GPT-4-based ChatGPT’s diagnostic performance with radiologists using real-world radiology reports of brain tumors
【著者】 Yasuhito Mitsuyama, Hiroyuki Tatekawa, Hirotaka Takita, Fumi Sasaki, Akane Tashiro, Satoshi Oue, Shannon L Walston, Yuta Nonomiya, Ayumi Shintani, Yukio Miki, Daiju Ueda

【掲載URL】 https://doi.org/10.1007/s00330-024-11032-8

用語解説

※1 最終診断:画像所見を基に、医師が最も可能性が高いと判断した病名のこと。

※2 鑑別診断: 最終診断を行う過程で列挙する、画像所見から考えられるいくつかの病名のこと。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 医学研究科
放射線診断学・IVR学
担当:光山 容仁(みつやま やすひと)
TEL:06-6645-3831
E-mail:so22470e[at]st.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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