最新の研究成果

COVID-19の合併症「肺アスペルギルス症」の日本での発症割合や死亡率を解析

2024年9月5日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇重症又は危篤状態となったCOVID-19感染症患者における、肺アスペルギルス症(CAPA)の発症割合やリスク因子、死亡率を解析。
◇0.4%~2.7%の割合でCAPAを発症し、CAPA発症者は死亡率が高いことが判明。
◇早期発見・治療のため、医療機関におけるスクリーニング強化の必要性を示唆。

概要

COVID-19の合併症の1つに、アスペルギルスというカビが原因で発症する肺アスペルギルス症(CAPA)があります。CAPA発症者は予後があまり良くないため、早期の発見や治療が必要ですが、これまで日本では、CAPAの発症割合やリスク因子、死亡率への影響についての研究はあまり行われていませんでした。

大阪公立大学大学院医学研究科臨床感染制御学の井本 和紀講師、掛屋 弘教授、医療統計学の井原 康貴大学院生(大阪市立大学大学院医学研究科 博士課程4年)、新谷 歩教授らの共同研究グループは、15万人以上の診療報酬データ(DPCデータ)を用いて、COVID-19中等症Ⅱ以上の患者における、CAPA発症割合やリスク因子、死亡率の解析を行いました。その結果、中等症Ⅱ以上の患者(約3.3万人)では、0.4%~2.7%の割合でCAPAを発症すること、また、男性や高齢者、呼吸器疾患や透析治療・輸血の有無などがCAPAのリスク因子であることが明らかになりました。さらに、CAPA発症者では約2倍死亡率が高いことが分かりました。

本研究成果は、2024年8月1日(木)に国際学術誌「Mycoses」のオンライン速報版に掲載されました。

press_0905

本学大学院医学研究科臨床感染制御学教室および本学医学部附属病院感染症内科では、感染症の患者さまを診療するだけでなく、病院での感染症のコントロール、そして感染症に関わるさまざまな研究を行っています。今回は新型コロナウイルス感染症の合併症に関する研究で、日本ではまだまだ研究が進んでいない分野です。

reserch_0111_imoto

井本 和紀講師

掲載誌情報

【発表雑誌】Mycoses
【論文名】Incidence and risk factors for coronavirus disease 2019-associated pulmonary aspergillosis using administrative claims data
【著者】Imoto W, Ihara Y, Imai T, Kawai R, Yamada K, Kaneko Y, Shintani A, Kakeya H
【掲載URL】https://doi.org/10.1111/myc.13773

資金情報

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(JP21fk0108094、JP22fk0108133)、(JPMH21HA2011、JPMH23HA2011)、大阪公立大学大学院医学研究科医療統計学教室の研究資金をもとに実施されました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科臨床感染制御学
講師 井本 和紀(いもと わき)
TEL:06-6645-3784
E-mail:wakiimoto[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03
  • SDGs17