最新の研究成果
“急がば回れ”作戦で、二酸化炭素とバイオマス由来化合物からのフマル酸生成収率を向上
2024年9月26日
- 研究推進機構
- 理学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇従来の反応系では1つの酵素が担う2つの反応を、2種類の酵素で補うことに着目。
◇生分解性プラスチックの原料となるフマル酸合成の生成収率を、従来の1.6倍に向上。
概要
大阪公立大学 人工光合成研究センターの天尾 豊教授らは、過去の研究において、バイオマス由来化合物から生分解性プラスチックの原料となるフマル酸合成に成功しています。フマル酸生成効率の向上には、中間体であるL-リンゴ酸の生成が重要ですが、従来の反応系では望ましくない副反応が進んでしまうという課題がありました。
本研究では、1つの酵素が担う2つの反応を2種類の酵素で補うことに着目。2種類の生体触媒で構成される反応系を構築し5時間反応させることで、原料であるピルビン酸の約80%をL-リンゴ酸に変換することに成功しました(従来系では7時間の反応で約46%の生成収率)。さらに、この反応系にフマラーゼを加えて5時間反応させたところ、原料であるピルビン酸の約16%をフマル酸に変換することができました(従来系では約10%)。
本研究成果は、2024年7月22日、英国王立化学会の学術誌「RSC Sustainability」にオンライン掲載され、2024年9月号(Issue 9)の内表紙を飾りました。
図1 二酸化炭素とバイオマス由来化合物からフマル酸を生成
図2 学術誌「RSC Sustainability」の内表紙
研究当時、大学院生であった竹内 未佳さんが、ことわざ「急がば回れ」から着想し、従来1つの酵素で担っていた機能を2つの酵素で補うことで、フマル酸生成収率の向上にこぎ着けることができました。
左:竹内さん、右:天尾教授
掲載誌情報
【発表雑誌】RSC Sustainability
【論 文 名】A multi-biocatalytic system for effective fumarate synthesis from pyruvate and gaseous CO2
【著 者】Mika Takeuchi, Yutaka Amao
【掲載URL】https://doi.org/10.1039/D3SU00486D
資金情報
本研究の一部は、科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))、基盤研究(B)及び特別推進研究の助成を受けたものです。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学 人工光合成研究センター
教授:天尾 豊(あまお ゆたか)
TEL:06-6605-3726
E-mail:amao[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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