最新の研究成果

若年女性に不足しがちなビタミンD 低コストで簡単な欠乏リスク判定ツールを開発

2024年9月30日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇健康な日本人女性583人のデータから、ビタミンD欠乏のリスク判定ツールを新たに開発。
◇高リスク者の迅速な判定や、適切なサプリメントの使用促進に役立つことが期待。

概要

必須栄養素の一つであるビタミンDは食事からの摂取に加え、日光を浴びることで生成されますが、過度な日焼け対策による日光浴不足などから、特に若年女性の間でビタミンDの不足・欠乏が深刻な問題となっています。ビタミンDの不足・欠乏は、妊娠高血圧症候群や子供の出生時体重の低下にも関係するため、高リスク者を迅速に判定し適切な健康指導を行うことが重要です。しかし、現状の検査方法では採血が必要でコストも高いため、より簡単にリスク判定が可能な、若年女性向けのリスク判定ツールの開発が求められています。

大阪公立大学大学院生活科学研究科の桒原 晶子教授らの研究グループは、栄養系大学に所属している18~40歳の日本人女性583人に対して横断調査を実施。ビタミンD欠乏の実態と要因を明らかにし、若年女性に特化した新しいビタミンD欠乏リスク判定ツールViDDPreS(Vitamin D Deficiency Predicting Scoring)を開発しました。本ツールにより、ビタミンD欠乏リスクが高い人の判定やその原因の推測が可能となります。また、簡単な質問に答えることで、自身のビタミンD欠乏リスクが分かるため、適切なサプリメントの使用促進にも役立つことが期待されます。

本研究成果は、2024年9月27日に国際学術誌「Public Health Nutrition」のオンライン速報版に掲載されました。

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ビタミンDが不足していても、自覚症状などはありませんが、知らない間に病気のリスクは高まります。まずは健康なうちから、自分の栄養状態に関心をお持ちいただきたい、という気持ちからこの研究に取り組みました。自分の健康を意識することでまずは自身の、そして次世代の健康につなげていきましょう。

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桒原 晶子教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Public Health Nutrition
【論文名】Development of a predictive scoring system for vitamin D deficiency "Vitamin D Deficiency Predicting Scoring (ViDDPreS)" based on the vitamin D status in young Japanese women: a nationwide cross-sectional study
【著者】Akiko Kuwabara, Eiji Nakatani, Hideaki Nakajima, Satoshi Sasaki, Kenichi Kohno, Kazuhiro Uenishi, Masaru Takenaka, Kyoko Takahashi, Akihiro Maeta, Nobuko Sera, Kaori Kaimoto, Masako Iwamoto, Hisaya Kawate, Mayumi Yoshida, Kiyoshi Tanaka, Naoko Tsugawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1017/S1368980024001708

資金情報

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)研究費(JP20ek0210131)の支援を受けて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
教授 桒原 晶子(くわばら あきこ)
TEL:072-950-2850
E-mail:kuwabara.akiko[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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