最新の研究成果
-整形外科の末梢神経手術への応用が期待- 手術中に神経を光らせて末梢神経障害の血流状態を可視化!
2024年10月1日
- 医学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇蛍光造影法を用いて、手術中に末梢神経の血流状態を可視化。
◇手術中の重症度診断や、再建手術への判断基準としての活用が期待。
概要
末梢神経が骨や靭帯などに圧迫されて、手や足にしびれや筋力低下などの症状が出ることを慢性絞扼性末梢神経障害といいます。症状の改善には、神経を圧迫している要因の排除や神経を再建する手術が必要です。神経が圧迫され血流が低下した部分を手術中に目視で確認できれば、手術精度の向上や重症度の判断、予後の予測にも繋がりますが、そのような方法はありませんでした。
大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学の岡田 充弘准教授、斉藤 公亮大学院生(大阪市立大学大学院医学研究科 博士課程4年)らの研究グループは、脳外科や眼科の手術で用いられるフルオレセイン蛍光造影法(FAG)に着目。ウサギモデルを用いて評価したところ、正常な血流状態の部分は緑色に光り、血流が低下した部分は光らないため(図)、血流状態を目視で確認することができました。本成果は、電気刺激を用いた術前検査では重症度が判断しにくい場合の術中診断や、再建手術に踏み切るかどうかの基準にも活用できると考えられます。
本研究成果は、2024年9月5日(木)に国際学術誌「Neurology International」のオンライン速報版に掲載されました。
図 フルオレセイン蛍光造影法で造影されたウサギ坐骨神経(左:正常、右:障害モデル)
最近の手術では、機能が低下した部位や病気のある部位をさまざまな方法を用いて可視化し、術者をアシストする試みが行われています。本研究では、重度の障害を受けた末梢神経の血流をフルオレセイン蛍光造影法で、手術中にリアルタイムで可視化して評価することに成功しました。今後、この技術は治療の難しい重症の神経障害の手術の精度を高める可能性があると考えています。
斉藤 公亮大学院生
掲載誌情報
【発表雑誌】Neurology International
【論文名】Fluorescein Angiography for Monitoring Neural Blood Flow in Chronic Nerve Compression Neuropathy: Experimental Animal Models and Preliminary Clinical Observations
【著者】Kosuke Saito, Mitsuhiro Okada, Takuya Yokoi, Shunpei Hama, Hiroaki Nakamura
【掲載URL】https://doi.org/10.3390/neurolint16050074
資金情報
本研究は、JSPS科研費(21K09210)の支援を受けて実施しました。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院医学研究科
准教授 岡田 充弘(おかだ みつひろ)
TEL:06-6645-3851
E-mail:m-okada[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
該当するSDGs