最新の研究成果

生活習慣病は肝がんの再発リスクを高める!

2024年10月3日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇肝細胞癌手術後の再発や生存率に対する肥満や糖尿病の影響を分析。
◇肥満と糖尿病を併存すると肝細胞癌の術後2年以降全ての再発リスクは約1.5倍、死亡リスクは約1.3倍に上昇。
◇肝細胞癌の術後5年以降全ての再発リスクは、肥満を併存している場合は約3.8倍、糖尿病を併存している場合は約2.0倍に上昇。

 

※単発肝細胞癌を「肝細胞癌」と記載します

概要

肝細胞癌の主な原因は肝炎ウイルスで、癌を切除しても再発率が高いことが知られています。近年、抗ウイルス療法の進歩により、肝細胞癌と肝炎ウイルスを併存する患者数は減少してきました。一方、肥満や糖尿病などの生活習慣病が肝細胞癌の要因となることが指摘されており、患者数が増加しています。しかし、肝細胞癌手術後の再発や生存率に対する肥満・糖尿病の影響については、これまで明らかにされていませんでした。

大阪公立大学大学院医学研究科肝胆膵外科学の新川 寛二講師、木下 正彦病院講師、石沢 武彰教授らの研究グループは、肝切除術を受けた肝細胞癌患者1,644例を対象に、肥満・糖尿病と術後成績の関連を分析しました。その結果、肥満と糖尿病を併存していると術後2年以降全ての再発リスクが約1.5倍、死亡リスクは約1.3倍に上昇していること、また、術後5年以降全ての再発リスクは、肥満を併存している場合は約3.8倍、糖尿病を併存している場合は約2.0倍に上昇することが明らかになりました。本研究は、癌再発の早期発見や適切な治療方針の決定に有用と考えられます。

本研究成果は、2024年8月20日に、国際学術誌「Liver Cancer」にオンライン掲載されました。

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肥満および糖尿病と肝細胞癌再発リスクの関

関西7施設より約1,600例の臨床データを集積するのに苦労しました。今回の結果を広く知ってもらうことで、肥満・糖尿病患者の生活習慣改善のきっかけとなり、生活習慣病の治療が進み肝細胞癌の再発率が低くなることを期待します。

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新川 寛二講師

掲載誌情報

発表雑誌】Liver Cancer
【論 文 名】Impact of diabetes mellitus and obesity comorbidities on survival outcomes after hepatocellular carcinoma resection: A multicenter retrospective study
【著  者】Hiroji Shinkawa , Masaki Kaibori, Masaki Ueno, Satoshi Yasuda, Hisashi Ikoma, Tsukasa Aihara, Takuya Nakai, Masahiko Kinoshita, Hisashi Kosaka, Shinya Hayami,Yasuko Matsuo, Ryo Morimura, Takayoshi Nakajima, Chihoko Nobori, Takeaki Ishizawa

【掲載URL】https://doi.org/10.1159/000540858

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科
新川 寛二(しんかわ ひろじ)
TEL:06-6645-3841
E-mail:d21129t[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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