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9歳以下は保存療法も考慮が必要か? 離断性骨軟骨炎の発症・再発リスクを検証

2024年10月15日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇外側円板状半月板の手術を受けた15歳以下の患者の予後を5年以上にわたり調査。
◇小中学生に多く見られる離断性骨軟骨炎(OCD)の発症・再発に年齢が関係していることが判明。
◇9歳以下の患者には、手術だけでなく保存療法も考慮する必要性がある。

概要

離断性骨軟骨炎(OCD)は、スポーツなど同じ動作の繰り返しにより肘や膝などの関節内で軟骨がはがれ落ちる症状で、成長期の小中学生に多く見られます。本来は半月状である膝関節内の軟骨組織が、先天的に分厚い円板状になっている外側円板状半月板を持つ患者は、OCDになりやすいという報告がありますが、これまで日本では、2つの症状を併発した場合の治療方法の検討や予後の評価はほとんど行われていませんでした。

大阪公立大学医学研究科整形外科学の飯田 健病院講師、橋本 祐介特任教授らの研究グループは、膝関節の患者76人(95症例)の治療データを、OCDとDLMの併発群(pre-OCD群)とOCDを併発していないDLM群(non-OCD群)に分け、術後のOCD発生率を分析。その結果、pre-OCD群ではOCDの再発率が28.5%、non-OCD群ではOCDの発生率が8.8%であったことが分かりました。さらに、9歳以下の患者では、OCDの再発または発生のリスクが高いことが判明。本研究により、子どもの年齢によっては、手術だけでなく保存療法も考慮する必要性が示唆されました。

本研究成果は、2024年7月31日に国際学術誌「Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy」に掲載されました。

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図1 OCDとDLMの併発症例   図2 DLMの症例

黒矢印:DLM 白矢印:OCD    黒矢印:DLM

離断性骨軟骨炎を合併する外側円板状半月板の治療方針に関しては、まだ多くのことが分かっていません。この研究が患者さまの治療の一助になれば幸いです。

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飯田 健病院講師

掲載誌情報

【発表雑誌】Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy
【論 文 名】Younger age is a risk factor for developing recurrent or postoperative osteochondritis dissecans after surgery for discoid lateral meniscus with/without preoperative osteochondritis dissecans
【著  者】Ken Iida, Yusuke Hashimoto, Kazuya Nishino, Shuko Tsumoto, Junsei Takigami, Tomohiro Tomihara, Hiroaki Nakamura
【掲載URL】https://doi.org/10.1002/ksa.12386

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学
講師 飯田 健(いいだ けん)
TEL:06-6645-2121
E-mail:l21399k[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:川上
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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