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ポスト日本統治時代の韓国で日本語学習が与えた影響を分析

2024年10月11日

  • 現代システム科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇1960年代の日本語学習ブームを報じた韓国の新聞記事において、男女で内容に差があることが明らかに。
◇日本統治時代とその後の韓国において、日本語が話せることによる影響を分析。
◇日本統治時代後の韓国における言語、ジェンダー、国民のアイデンティティの関係を解明。

概要

1910年の韓国併合から日本が敗戦した1945年まで、日本は朝鮮を統治していました。その後、国交が正常化した1960年代、韓国では日本語学習がブームになりました。韓国の新聞は、主に女性が好んで日本語を学んでいると報じましたが、仕事や勉強のために日本語を学習しているエリート男性らについては、ほとんど報道していませんでした。

大阪公立大学大学院現代システム科学研究科の楊 眞淑准教授は、日本語学習の報道において男女の差が生じた原因と、日本統治時代以降の日本の影響力について韓国の人々がどのように感じていたのかを、新聞報道などを基に調査。その結果、韓国の新聞は大学生などの若い世代の女性と、娯楽産業に従事している女性の2種類のグループに焦点を当て、たびたび日本語学習について記事を書いていたことが分かりました。また、先駆的な女性らは、日本語を通じてジェンダー意識を獲得していましたが、その主張は男性中心の社会では受け入れられていなかったことも明らかになりました。本研究により、日本統治時代後の韓国における言語、ジェンダー、国民のアイデンティティの関係をより深く理解できると考えられます。

本研究成果は、2024年9月2日、国際学術誌「Asian Studies Review」に掲載されました。

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言語は社会を知る魅力的な窓のようなものです。さまざまな言語を人々がどのように学び、使っているかを研究することで、世界のしくみを深く理解することができると考えています。

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楊 眞淑准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Asian Studies Review
【論 文 名】The Gendered Construction of the Japanese Language-Learning Boom in Postcolonial Korea 
【著  者】Jinsuk Yang

【掲載URL】https://doi.org/10.1080/10357823.2024.2393726

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院現代システム科学研究科
准教授 楊 眞淑(ヤン ジンスク)
E-mail:yang[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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