最新の研究成果

建築物の省エネ性能評価に用いる気象データの新たな生成手法を提案

2024年10月29日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇気温や湿度、日射量などの気象要素の相互依存性を考慮した、新たな気象データを生成。
◇本手法で生成した気象データは、実際の気象データとも大きな相違はないことを確認。
◇さまざまな気象条件に対応した、エネルギー効率の高い建築物の設計促進に繋がると期待。

概要

建築物の省エネ性能の評価には、気温や湿度、日射量などの要素から構成される、10年~30年間分の気象データが用いられますが、地球温暖化等の影響でこれらのデータと実際の気象条件の間にギャップが生まれています。また、現在用いられている気象データでは、各要素の相互依存性が考慮されておらず、気象条件の変化に対応しにくいことが課題でした。

大阪公立大学大学院生活科学研究科の袁 継輝准教授、焦 志超学振特別研究員(PD)、永村 一雄名誉教授らの研究グループは、建築物の省エネ性能評価に用いる気象データの新たな生成法として、複数の要素の依存関係を表す統計モデルを用いた手法を提案。特定の時刻における気温、日射、湿度をモデル化し、そこから24時間、365日のデータへ徐々に拡張することで、1年間の気象データを生成しました。また、本手法を用いて生成した30年分の気象データは、気象庁から提供された30年分の実際の気象データとも大きなずれはなく、正確性も確認できました。

本研究成果は、2024年10月22日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン速報版に掲載されました。

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本研究は、建築シミュレーションにおける気象データの不確実性に対処する必要性に応えるものです。精度の高いモデルを開発するのは困難でしたが、非常にやりがいがありました。持続可能な都市開発に貢献できることを願っています。

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袁准教授(左)、焦学振特別研究員(右)

掲載誌情報

【発表雑誌】Scientific Reports
【論文名】Multivariate stochastic generation of meteorological data for building simulation through interdependent meteorological processes
【著者】Zhichao Jiao, Jihui Yuan, Craig Farnham & Kazuo Emura
【掲載URL】https://doi.org/10.1038/s41598-024-75498-8

資金情報

本研究は、JSPS科研費(23KJ1840およびJP22K02098)の支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
准教授 袁 継輝(えん けいき)
TEL:06-6605-2833
E-mail:yuan[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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