最新の研究成果

医療×中小企業のものづくり! ロボット心臓手術のサポート器機を開発

2024年10月31日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇中小企業が持つ知見を活用し、ロボット心臓手術をサポートする器機を開発。
◇医療機器でも使用可能なプラスチック素材で、柔軟性と剛性の共存を実現。
◇心臓手術だけでなく、他分野における外科手術への応用も期待。

概要

近年、患者の体への負担を低減するため、「ダヴィンチ」などの手術支援ロボットを用いた低侵襲な手術が主流となっています。ロボット心臓手術では、小さな傷口からロボットのアームを挿入して術野を確保するため、患者の横に立つ助手の的確な補助が必要不可欠です。しかし、手術を円滑に進めるための術野確保が、助手の技量に大きく左右されることが課題です。

大阪公立大学大学院医学研究科心臓血管外科学の柴田 利彦教授、高橋 洋介准教授らの研究グループは、医療機器への使用が可能なプラスチック素材を用いた術野展開プレートを、中小企業との連携により開発(図1)。円形状に小さく丸めたプレートが、弾性力によって心臓内で自動的に広がることで、手術をより円滑に進めるための術野を確保できるようになりました。本プレートにより、助手の技量に左右されないロボット心臓手術の実現や、口腔外科や耳鼻咽喉科など、他分野での外科手術への応用も期待されます。

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図1 本研究で開発した術野展開プレート
円形状に小さく丸めたもの(下)を心臓内に挿入し、術野を確保する。

本研究成果は、2024年10月26日に、International Society for Minimally Invasive Cardiac Surgery(国際低侵襲心臓手術学会)が刊行する国際学術誌「Innovations」のオンライン速報版に掲載されました。

ロボット手術はさまざまな外科領域で行われ、心臓外科でも応用されています。心臓手術は心臓を止めて手技を行うため、できるだけ手技を早く終わらせる必要があります。私たちの開発した心臓内展開プレートによって手技がスムーズにでき、結果的に心停止時間が短くなったことは非常に嬉しいです。

また、ニーズに合わせて適切な素材を探し、できるだけ構造をシンプル にすることで、従来の医療器機メーカー以外でも医療器機開発・特許出願に参画可能であることを強調したいです。

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高橋 洋介准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Innovations
【論文名】Self-adjusting Atrial and Subvulvular Exposure System for Robotic Surgery
【著者】Yosuke Takahashi, Akimasa Morisaki, Kenta Nishiya, Goki Inno, Takumi Kawase, Yukihiro Nishimoto, Munehide Nagao, Kazuki Noda, and Toshihiko Shibata
【掲載URL】https://doi.org/10.1177/15569845241287769

特許情報

特許出願中:特願2023-013557

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科心臓血管外科学
准教授 高橋 洋介(たかはし ようすけ)
TEL:06-6645-3980
E-mail:takahashi.yosuke[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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