最新の研究成果

食中毒を引き起こすウェルシュ菌の芽胞の形成を阻害するアミノ酸を特定

2024年11月19日

  • 獣医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇食中毒の原因菌ウェルシュ菌の芽胞形成に影響を与えるアミノ酸を分析し、芽胞形成を阻害するアミノ酸としてセリンを特定。
◇セリンが芽胞形成を阻害するメカニズムを明らかに。

概要

ウェルシュ菌は、動物の腸管や土壌などに広く存在する食中毒の原因となる病原体の一つで、鍋に保存されたカレーなど、酸素が少ない環境で増殖します。通常はしっかりと加熱することで死滅しますが、“芽胞”と呼ばれる硬い殻を一度作ると、通常の加熱では死滅しません。また、芽胞の形成時に作られた毒素が下痢や腹痛を引き起こしますが、芽胞形成の根本的なメカニズムは解明されていません。

大阪公立大学獣医学研究科の安木 真世准教授らの研究グループは、ウェルシュ菌の芽胞形成メカニズムを解明するために、アミノ酸に着目。20種類のアミノ酸を含む培地と、20種類のうち各々1種類を欠乏させた培地の計21個で増殖速度を比較し、芽胞形成に至る菌数を確認しました。その結果、セリンがウェルシュ菌の芽胞形成を阻害することを特定しました。また、芽胞の形成過程を顕微鏡下で観察し、セリンがどのように芽胞形成を阻害するかを検証したところ、細胞壁が芽胞となるために丸く形作る動きを阻害することが分かりました。

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本研究成果は、2024年10月3日に国際学術誌「Anaerobe」のオンライン速報版に掲載されました。

アミノ酸欠乏培地の作製や嫌気性菌の芽胞形成実験は、煩雑で根気の必要な困難な作業です。歴代の研究室所属学域生が卒業研究としてこの困難に挑戦し、ようやく結実した成果です。

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安木 真世准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Anaerobe
【論文名】Serine affects engulfment during the sporulation process in Clostridium perfringens strain SM101
【著者】Mayo Yasugi, Akinobu Ohta, Keiko Takano, Kanako Yakubo, Michiko Irie, Masami Miyake
【掲載URLhttps://doi.org/10.1016/j.anaerobe.2024.102914

資金情報

本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費(19K10580、23K09674)からの支援を受けて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 安木 真世(やすぎ まよ)
TEL:072-463-5709
E-mail:shishimaru[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:川上
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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