最新の研究成果
薄膜に生じたシワの大きさを1台のカメラで簡単測定! -宇宙大型構造物での活用が期待-
2024年11月22日
- 工学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇大型宇宙構造物で用いる薄膜の皺を、たった1台のカメラで簡単に測定できる方法を提案。
◇撮影した画像から、計測点の移動距離を計算することで、皺の大きさを測定。
概要
大型アンテナなど宇宙空間で使用する大型構造物は、ロケットに搭載して打ち上げられますが、ロケットが一度に運べる荷物のサイズには限界があります。そこで、軽量かつコンパクトに収納できる薄膜を用いた構造物の研究が進んでいます。薄膜はラップほどの厚みしかないため、展開した際に皺などが簡単に生じます。そのため、展開後の薄膜の形状を正確に把握できる計測技術の開発が求められています。
大阪公立大学大学院工学研究科の岩佐 貴史教授らの研究グループは、1台のカメラで撮影した画像から、薄膜全体に生じた皺の大きさを測定する方法を提案。従来は複数のカメラが必要でしたが、本研究では薄膜に印字した計測点がどれだけ移動したかを画像から計算することで、皺の大きさが簡単に測定できるようになりました(図1)。本手法は、カメラの設置スペースに限りのある宇宙構造物での活用が期待されます。
本研究成果は、2024年11月2日に国際学術誌「Measurement」のオンライン速報版に掲載されました。
図1 本研究で提案した皺の計測手法
本研究は、膜面に生じる皺の大きさ(振幅と波長)を1台のカメラで簡易に測定する方法を提案しました。大型膜面宇宙構造物を対象に研究開発を行っていますが、薄膜は建築・土木・機械・バイオ・医療等、さまざまな分野で利用される材料であるため、宇宙以外の分野でも役立つことを期待しています。
岩佐 貴史教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Measurement
【論文名】Monitoring thin membranes for wrinkles using single-camera photogrammetry
【著者】Takashi Iwasa, Yuuya Ueda, and Katsuya Nakamura
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.measurement.2024.116123
資金情報
本研究は、JSPS科研費 基盤研究(B)(22H01644)の支援を受けて実施しました。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院工学研究科
教授 岩佐 貴史(いわさ たかし)
TEL:072-254-9238
E-mail:iwasa.takashi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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