最新の研究成果
リハビリテーションもDX化! 運動麻痺患者への最適なロボットリハビリプログラムを自動で提案するシステムを開発
2024年11月22日
- リハビリテーション学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇運動麻痺※の程度を調べるだけで、最適なロボットリハビリプログラムの提供が可能に。
◇誰でも簡単にプログラムを提供できるため、ロボットリハビリのさらなる推進に期待。
概要
脳卒中は、発症後一命をとりとめたとしても、運動麻痺などの重い後遺症が残るため、継続的なリハビリテーションが必要です。近年、正しい動作を繰り返し行えることから、ロボットを用いたリハビリが世界中で推奨されています。しかし、運動麻痺の程度に合わせた適切なリハビリを提供するためには、リハビリだけでなくロボットを扱うための技術や知識も必要なため、医療者なら誰でも簡単にプログラムを提供できるシステムが求められています。
大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の竹林 崇教授らの研究グループは、経験豊富な医療者がリハビリロボットReoGo-Jを用いて、対象者213名の運動麻痺の程度に合わせて提供したプログラムデータを収集。統計手法による分析から、医療者が運動麻痺の程度を調べるだけで、最適なリハビリプログラムが自動提案されるシステムを開発しました(図1)。本システムにより、誰でも簡単に最適なリハビリプログラムが提供できるようになることで、ロボットリハビリのさらなる推進や、効果的なリハビリの練習量確保、医療者の負担軽減に繋がることが期待されます。
本研究成果は、2024年10月28日に国際学術誌「Scientific reports」のオンライン速報版に掲載されました。
図1 従来のロボットリハビリの提供スキーム(左)と本研究で開発したDXシステムによるスキーム(右)
運動麻痺で手が使えなくなってしまった対象者さんへの効果的なリハビリを、誰でも提供できるようにするために、本プログラムを開発しました。ReoGo-Jは、本研究グループによる大規模な研究で、これまでに二度、米国心臓/脳卒中学会の機関誌「Stroke誌」に取り上げられるなど、脳卒中後の運動麻痺に対して効果が証明されているロボットです。多くの脳卒中後の患者さんのより良い生活を支えるために、再現性のある効果的なロボットリハビリが世の中に広がって欲しいです。
竹林 崇教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Scientific reports
【論文名】Automatic setting optimization for robotic upper-extremity rehabilitation in patients with stroke using ReoGo-J: a cross-sectional clinical trial
【著者】Takashi Takebayashi, Yuki Uchiyama & Kazuhisa Domen
【掲載URL】https://doi.org/10.1038/s41598-024-74672-2
資金情報
本研究の一部は、帝人ファーマ株式会社からの支援を受けて実施しました。
用語解説
※ 運動麻痺…脳から手足に繋がっている神経が損傷し、思った通りに動かせなくなる症状。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
教授 竹林 崇(たけばやし たかし)
TEL:072-950-2978
E-mail:takshi77[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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