最新の研究成果

マイクロバブルの温度・生成数と液体温度の相関を明らかに

2024年12月6日

  • 現代システム科学研究科
  • プレスリリース

概要

水などの液体に高出力の超音波を照射すると、マイクロサイズの小さなバブルが発生します。このようなバブルは洗浄効果があるとされ、近年ではシャワーヘッドに用いられるなど、注目を集めています。超音波の出力を上げることで発生する数千度・数百気圧以上の高温高圧バブルは、水の浄化技術や医療分野への応用が期待されています。しかし、高温高圧バブルはすぐに消えてしまうため、その温度や生成数を正確に把握できず、特性や化学的な作用を明らかにするのが困難です。

大阪公立大学大学院現代システム科学研究科の興津 健二教授らの研究グループは、バブルの化学作用を調べる指標を再検討。これまでは、水が熱分解された際に生じる過酸化水素の量が重要な指標であるとされていましたが、本研究により水素の量がより重要な指標であることが分かりました。また、超音波を照射する液体の温度と、生成されるバブルの温度・生成数を調べるため、t-ブタノール水溶液を用いて実験を行いました。その結果、t-ブタノール水溶液の温度や濃度が高くなると、生成されるバブルの温度が低下し、生成数も減少することが明らかになりました。本成果は、高温高圧バブルが持つ特性の詳細な解明に繋がることが期待されます。

image

図 マイクロバブルの発生イメージ
溶液内で定在波が生成され、定在波の腹部分にあるバブルが高温になる。図中の写真は、バブルの周辺でルミノール発光が生じている様子を示している。

本研究成果は、2024年11月7日に国際学術誌「Ultrasonics Sonochemistry」のオンライン速報版に掲載されました。

掲載誌情報

【発表雑誌】Ultrasonics Sonochemistry
【論文名】Evaluation of H2O2, H2, and bubble temperature in the sonolysis of water and aqueous t-butanol solution under Ar: effects of solution temperatures and inorganic additives of NaCl and KI
【著者】Yuki Nakata, Yoshiteru Mizukoshi, Kenji Okitsu
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.ultsonch.2024.107146

資金情報

本研究の一部は、JSPS 科研費(17K06908)の支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院現代システム科学研究科
教授 興津 健二(おきつ けんじ)
TEL:072-254-9506
E-mail:okitsu[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs09