最新の研究成果

廃棄物から作る再生液肥のリン含有量を大幅向上 循環型次世代農業の発展に期待

2024年12月9日

  • 農学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇pHを調整することで、リンを多く含む液体肥料(再生液肥)の作製方法を確立。
◇これまで困難だった液体肥料へのリンの循環利用で、循環型次世代農業の発展を目指す。

概要

植物の生育に必要なリンや窒素の多くは、化学肥料でまかなわれています。しかし、過剰使用などの影響で地球上のリンや窒素の量が増加しており、さまざまな環境問題を引き起こしています。そのため、リンや窒素を循環させて持続可能な農業を目指す動きが世界中で広がっており、日本でも2050年までに化学肥料の使用量30%削減を目標に掲げています。

大阪公立大学大学院農学研究科の遠藤 良輔講師、佐久間 哲大学院生(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 博士後期課程3年)らの研究グループは、水耕栽培が中心の植物工場などで使用される液体化学肥料の置き換えとして、生ごみなどの廃棄物から液体肥料(再生液肥)を作製する技術に着目しました。これまでの作製方法ではリンが沈殿することが課題でしたが、再生液肥のpHを下げてリンを溶かした後、元のpHに戻すことで、リンの含有量が高い再生液肥の作製方法を確立しました。本成果を応用し、廃棄物に含まれるリンを液体肥料として再利用することで、循環型次世代農業の発展に繋がることが期待されます。

本研究成果は、2024年11月29日に国際学術誌「Chemosphere」のオンライン速報版に掲載されました。

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化学肥料削減が世界のトレンドとなりましたが、水耕栽培ベースの農業システムは化学肥料に強く依存しています。

本成果を用いてこれを持続可能な次世代型農業システムに一歩近づけ、日本の農業をより魅力的に変えていきたいと思っています。

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佐久間 哲大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Chemosphere
【論文名】Substituting phosphorus and nitrogen in hydroponic fertilizers with a waste derived nutrients solution: pH control strategies to increase substitution ratios
【著者】Satoru Sakuma, Ryosuke Endo, Toshio Shibuya
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2024.143805

資金情報

本研究は、JSPS科研費(JP20K06350)、科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業(JPMJFS2138)の支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院農学研究科
講師 遠藤 良輔(えんどう りょうすけ)
TEL:072-254-9668
E-mail:endo_r[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。