最新の研究成果

食生活を楽しむことが健康的な身体づくりの鍵

2025年1月15日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇骨粗鬆症患者を対象に、食生活の充実度と健康状態の関連性を検証。
◇食生活の質は、たんぱく 質摂取量や健康状態  、健康観と関連することを解明。
◇楽しい食事は、骨粗鬆症の改善に効果的であることを示唆。

概要

骨粗鬆症の食事療法は、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなど、健康な骨を作るために必要な栄養素を過不足なく摂取することを重視して進められています。しかし、骨粗鬆症患者は骨が脆くなっているだけでなく、低栄養状態や、加齢および疾患により虚弱状態にあることが多いため、健康的な日常生活の維持につながる食事療法が必要とされています。食生活が健康に与える影響について、栄養素の摂取量に着目した研究はこれまで多数行われてきましたが、食事の楽しみや充足感、食事環境、食の多様性との関連に着目した検証は十分に行われていませんでした。
大阪公立大学大学院生活科学研究科の松本 佳也准教授らの研究グループは、骨粗鬆症の通院患者532人を対象に、食事の楽しみや充足感等と栄養素摂取状況、健康状態、主観的健康観との関連性を検証。その結果、食事関連のQOL(quality of life; 生活の質)が高いことは、たんぱく 質摂取量が多い・虚弱状態ではない・健康関連QOLが高いことと関連することが分かりました。
本研究結果は、美味しい・楽しいといった充足感を得られる食生活 が、健康的な身体づくりや生活の質の向上につながる可能性があり、栄養素の摂取量だけでなく、食生活全般 に着目した食事療法が骨粗鬆症の治療において有効であることを示唆しています。

本研究成果は、2025年1月2日に、国際学術誌「Geriatrics & Gerontology International」にオンライン掲載されました。

本研究では、食生活を充実させ、食事をおいしく楽しく食べることが健康維持のために重要であるということを示すことができました。今後は、どのような要因が食事関連QOLに影響するかを検証していきたいと思います。本研究が、食生活の大切さを再認識いただくきっかけになれば幸いです。

matsumototeacher

松本 佳也准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Geriatrics & Gerontology International
【論 文 名】Diet-related quality of life may directly and indirectly affect health-related quality of life through protein intake and frailty in patients with osteoporosis: Results from a prospective, cohort study
【著  者】Yoshinari Matsumoto, Chie Wakano, Takashi Kimura, Eri Nishioka, Nana Yunoki, Masao Kurokawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1111/ggi.15067

資金情報

本研究は、公益信託仲谷鈴代記念栄養改善活動振興基金、一般財団法人田沼グリーンハウス財団の助成を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
准教授 松本 佳也(まつもと よしなり)
TEL:072-950-2846
E-mail:y-matsumoto[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:柴田
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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