最新の研究成果

新型コロナウイルスに対するオゾン水の不活化効果を検証 だ液に含まれる成分が効果を低減

2024年12月12日

  • 獣医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇だ液成分のうち、アミラーゼとムチンがオゾン水の不活化効果を低下させる。
◇新型コロナウイルスで汚染された環境表面への消毒剤としての活用に、新たな知見を提供。 

概要

オゾン水は、カビや細菌に対する不活化効果が強いことが知られており、これまでの研究で新型コロナウイルス単体への不活化効果も確認されています。新型コロナウイルスは飛沫物を介して感染するため、実環境ではだ液や鼻水などの有機物と一緒に存在しますが、オゾン水は有機物と反応するとすぐに分解され、その効果が低下することが知られています。そのため、有機物がある中でどのくらい不活化効果があるのかを調べる必要があります。

大阪公立大学大学院獣医学研究科の安木 真世准教授とパナソニック株式会社の共同研究グループは、ヒトのだ液に含まれる成分のうち濃度の高いアミラーゼ、ムチン、尿素に着目。これらの成分がある場合とない場合の、オゾン水の新型コロナウイルスへの不活化効果を検証しました。その結果、アミラーゼとムチンはオゾン水を分解し、不活化効果を低下させることが分かりました(図)。本成果は、新型コロナウイルスの消毒剤として使用する、オゾン水の濃度や曝露時間に新たに知見を与えるものです。

本研究成果は、2024年11月14日に国際学術誌「Journal of hospital infection」のオンライン速報版に掲載されました。

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図 先行研究(上)と本研究(下)の実験条件
だ液成分により、新型コロナウイルスへの不活化効果が減少する

本研究は、だ液中の有機物がSARS-CoV-2に対するオゾン水の不活化効果をどの程度弱めるかを評価した世界で初めての報告です。

実環境におけるオゾン水の適用に向けた基盤知見となることが期待されます。

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安木 真世准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of hospital infection
【論文名】Disinfection effect of ozonated water on SARS-CoV-2 in the presence of salivary proteins
【著者】Mayo Yasugi, Kiyoe Gunji, Ken-ichiro Inagaki, Mami Kuroda, Chihiro Ii
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.jhin.2024.11.005

資金情報

本研究は、Panasonic Corporation Living Appliances and Solutions Companyからの支援を受けて行われました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 安木 真世(やすぎ まよ)
TEL:072-463-5709
E-mail:shishimaru[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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