最新の研究成果

犬の肝細胞癌で発現量が変化する遺伝子を解析 手術以外の選択肢拡大へ一歩前進

2024年12月17日

  • 獣医学研究科
  • プレスリリース

概要

犬の肝細胞癌は手術による治療が一般的ですが、腫瘍が広範囲に広がっていたり、飼い主の同意が得られない場合は手術が困難なため、治療の選択肢を増やす必要があります。近年は、がん細胞で特異的に発現する遺伝子などを攻撃する、分子標的薬を用いた治療も行われています。しかし、この薬は人の治療のために開発されたもので、犬でも同様の治療効果があるかは明らかになっていません。

大阪公立大学大学院獣医学研究科の田中 利幸准教授らの研究グループは、犬の肝細胞癌で特異的に発現している遺伝子を調べるため、犬肝細胞癌11症例の遺伝子解析を行い、通常の肝細胞組織と比較しました。その結果、5つの遺伝子の発現量が増加し、3つの遺伝子の発現量が減少していることが分かりました(図)。また、発現量が変化する遺伝子の種類は、人の肝細胞癌とは異なることも明らかになりました。本成果により、特定の遺伝子をターゲットとした、犬の肝細胞癌に対する新たな分子標的薬の開発などに繋がることが期待されます。

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図 犬肝細胞癌における遺伝子発現状況
発現が上昇している遺伝子が分子標的薬のターゲットとなりうる。

本研究成果は、2024年12月2日に国際学術誌「BMC Research Notes」のオンライン速報版に掲載されました。

掲載誌情報

【発表雑誌】BMC Research Notes
【論文名】Candidate genes in canine hepatocellular carcinoma for molecular targeted therapy
【著者】Toshiyuki Tanaka, Tomoki MOTEGI, Misaki Mori, Nanami Sumikawa, Kaito Maeda, Yasumasa Iimori, Hideo Akiyoshi
【掲載URL】https://doi.org/10.1186/s13104-024-07016-y

資金情報

本研究は、JSPS科研費(JP22K05991)の助成を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 田中 利幸(たなか としゆき)
TEL:072-463-5457
E-mail:t-tanaka[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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