最新の研究成果

バイオマス由来化合物とアンモニアから、生分解性ナイロンを生成する人工光合成技術を開発

2024年12月18日

  • 理学研究科
  • 研究推進機構
  • プレスリリース

ポイント

◇生分解性プラスチック原料の化学構造に着目し、似た構造のアミノ酸を生分解性ナイロンの原料に選択。
◇太陽光エネルギーを利用して生分解性ナイロン前駆体の合成に成功。

※ 前駆体:ある化学物質についてその物質が生成する前段階の物質のこと。

概要

化石資源から合成される従来のプラスチックの代わりに、バイオマス由来化合物から作られる生分解性プラスチックが注目されています。また、傘や釣り糸、スポーツウエアなどに使われるナイロンも同様に化石資源から作られ、使用後は自然界で分解されず環境汚染につながるため、代替の素材が望まれています。

大阪公立大学 人工光合成研究センターの天尾 豊教授と山田 恭佑大学院生(大阪公立大学大学院理学研究科博士前期課程1年)は、生分解性プラスチックの原料の化学構造に着目し、似た構造のアミノ酸をナイロン型生分解性プラスチックの原料に選択。バイオマス由来化合物とアンモニアを使用して生分解性ナイロン前駆体を合成する人工光合成技術を開発しました。またこの前駆体を、太陽光エネルギーを利用して合成することに成功しました。

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本研究成果は、2024年11月12日、英国王立化学会の学術誌「Sustainable Energy & Fuels」にオンライン掲載されました。

光酸化還元系にアミノ酸生成のための生体触媒を導入することで、バイオマス由来化合物から生分解性ナイロン前駆体を合成することに成功しました。実験は地道な取り組みの連続でしたが、成果を得られたことに大きな喜びを感じています。本研究が、温室効果ガス削減や環境汚染解決に貢献することを願っています。

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山田 恭佑大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Sustainable Energy & Fuels
【論 文 名】A photo/biocatalytic system for visible-light driven L-alanine production from ammonia and pyruvate
【著  者】Kyosuke Yamada, Yutaka Amao
【掲載URL】https://doi.org/10.1039/D4SE01215A

資金情報

本研究の一部は科学研究費助成事業 特別推進研究(23H05404)及び基盤研究(B)(22H01872、22H01871)、公益財団法人発酵研究所(G-2023-3-050)の助成を受けたものです。

研究に関する問い合わせ先

大阪公立大学 人工光合成研究センター
教授:天尾 豊(あまお ゆたか)
TEL:06-6605-3726
E-mail:amao[at]omu.ac.jp   [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

該当するSDGs

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