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がんにおける細胞の死と老化に関する総説論文を発表 ~がんを促進する老化細胞の選択的な制御法開発に期待~
2024年12月19日
- 医学研究科
- プレスリリース
概要
細胞は、個体の発生や加齢の過程で増殖の役目を終えたり、細胞内外のストレスによりDNAが損傷すると、分裂が停止した状態(細胞老化)になることがあります。老化した細胞は特殊な分泌物を排出しており、この分泌物は老化細胞の周辺組織の修復を補助することが知られています。一方で、分泌物の中にはがん細胞の増殖を促進する有害なものも存在することが明らかになってきました。そこで、有害な分泌物を排出する老化細胞を選択的に死滅(細胞死)させる薬や手法の開発が進んでいます。
大阪公立大学大学院医学研究科医化学の清水 康平講師らは、老化細胞に対するさまざまな細胞死のメカニズムや、加齢に伴う変化から、がんにおける細胞死と細胞老化の相互作用に関する最新の知見を詳述する総説論文を発表しました。これにより、老化細胞に効果的な細胞死の解明や、有害な分泌物の排出を阻害する手法の開発が加速することが期待されます。
この総説論文は、2024年11月16日に国際学術誌「Seminars in Cancer Biology」にオンライン掲載されました。
この十数年で新興の細胞死研究は格段に発展を遂げてきましたが、細胞老化や個体老化との関わりはまだまだ未開拓の領域です。種々の細胞死は、がんや加齢性疾患の予防・治療標的として高いポテンシャルを秘めていると思いますので、本総説が今後の研究発展の一助となれば幸いです。
清水 康平講師
掲載誌情報
【発表雑誌】Seminars in Cancer Biology
【論文名】The interplay between cell death and senescence in cancer
【著者】Kouhei Shimizu, Hiroyuki Inuzuka, Fuminori Tokunaga
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.semcancer.2024.11.001
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院医学研究科
講師 清水 康平(しみず こうへい)
TEL:06-6645-3722
E-mail:shimizu.kouhei[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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