最新の研究成果

高齢者へのオンデマンドバス普及に向けて -泉北ニュータウン地域での実証実験結果を検証-

2025年1月8日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

概要

2023年10月から2024年1月にかけて、泉北ニュータウン地域でオンデマンドバスの実証実験1が実施されました。オンデマンドバスは、急増する高齢者のラストワンマイルの移動を支える移動手段として期待をされています。しかし、高齢者は新テクノロジーに対する受容度が低いという課題があります。

大阪公立大学大学院生活科学研究科の加登 遼講師と大阪大学大学院工学研究科の葉 健人助教は、オンデマンドバスの利用者の特徴を分析しました。その結果、オンデマンドバスの利用行動は、「周囲の人が乗っているので自分も乗ってみる」や「新しいモビリティをいち早く体験して、周囲に広めたい」などの、“周囲の影響”と有意に関係することが分かりました。また、高齢者では性能期待度が、成人では交通安全性が、利用行動と有意に関係することも判明しました。

本研究成果は、2024年12月14日に、国際学術誌「Transportation Research Interdisciplinary Perspectives」に掲載されました。

press_01082024年度実施のオンデマンドバス実証実験の様子

日本全国で、テクノロジーを用いて地域課題を解決するスマートシティプロジェクトが進行しています。しかしその多くが、高齢者のテクノロジー利用というハードルに直面しています。本研究成果は、新しいテクノロジーを伴う交通インフラであっても、住民と共に育む必要性を示しています。

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加登 遼講師(左)、葉 健人助教(右)

掲載誌情報

【発表雑誌】Transportation Research Interdisciplinary Perspectives
【論文名】Acceptance and use of demand-responsive transport by older people in old New Town: Evidence from Senboku New Town
【著者】Haruka Kato, Kento Yoh
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.trip.2024.101295

資金情報

本研究は、JSPS科研費(24K17421)とJST COI-Next(住民と育む知的インフラ共創拠点JPMJPF2115)の支援を受けました。

用語解説

※1 泉北ニュータウン地域におけるオンデマンドバスの実証実験…泉北ニュータウン地域における住民の移動課題の解決のため、南海電気鉄道・南海バス・堺市が連携し2022年度より実施。本研究で分析した実証実験(第二弾)は2023年10月1日から2024年1月31日まで実施されたもので、延べ3,253人が乗車した。現在は実証実験(第三弾)が実施されている。

※2 へるすまーと泉北…南海電気鉄道が提供する、泉北ニュータウン地域の居住者及び来訪者向けのmobile Health (mHealth)アプリ。日常的に貯めた歩数を、デジタルきっぷ等に利用することができ、2024年12月時点で1万人以上のユーザーが利用している。

関連情報

当社で取り組む「NANKAIオンデマンドバス」に関する研究論文が発表されました(南海電気鉄道株式会社 Webサイト)

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
講師 加登 遼(かとう はるか)
E-mail:haruka-kato[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06- 6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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