最新の研究成果

-アジア太平洋地域での胃がん撲滅を目指して- ピロリ菌への診療方針を大規模調査

2025年1月15日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

概要

ヘリコバクター・ピロリ菌は、慢性胃炎や胃がんなどの原因菌として知られています。一般的な胃がんのうち、約90%にピロリ菌への感染が関与していますが、ピロリ菌を除菌する一次予防を行うことで、胃がんの発生率を30~40%減少させることができるといわれています。しかし、胃がんの発生率が高いアジア太平洋地域では、除菌治療に用いられる抗菌薬に対する耐性菌の増加が大きな課題となっています。また、胃がんの早期発見には内視鏡検査による二次予防も重要ですが、国によってどの程度二次予防の重要性を認識しているかは明らかではありません。

大阪公立大学大学院医学研究科消化器内科学の大谷 恒史講師、藤原 靖弘教授と、ハノイ医科大学、チュラロンコン大学、クイーンエリザベス病院、マラヤ大学、マウントエリザベスメディカルセンター、中山大学附属第一病院の国際共同研究グループは、ピロリ菌の診療方針を調べるために、アジア太平洋地域の臨床医を対象としたオンライン調査を実施。診断方法や除菌治療に用いる抗菌薬の種類・用量・治療期間、内視鏡検査による二次予防の必要性などに対する各国の回答結果から、ピロリ菌に対する一次予防および二次予防が重要であるという共通認識が広まりつつあることを確認しました。本調査結果は、アジア太平洋地域における統一的な診療方針の確立に寄与することが期待されます。

本研究成果は、2024年12月26日に国際学術誌「Journal of Gastroenterology and Hepatology」のオンライン速報版に掲載されました。

press_0115

図 本研究のオンライン調査対象地域

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of Gastroenterology and Hepatology
【論文名】Asia-Pacific survey on the management of Helicobacter pylori infection
【著者】Koji Otani, Dao Viet Hang, Rapat Pittayanon, Henry Liu, Kee Huat Chuah, John Hsiang, Ning Zhang, Akira Higashimori, Yasuhiro Fujiwara
【掲載URL】https://doi.org/10.1111/jgh.16862

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科消化器内科学
講師 大谷 恒史(おおたに こうじ)
TEL:06-6645-3811
E-mail:kojiotani[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06- 6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs03
  • SDGs17