最新の研究成果
酵母菌によるD体乳酸の生産を最も促進する遺伝子とDNA配列の組み合わせを発見
2025年1月22日
- 工学研究科
- プレスリリース
概要
石油価格の高騰や資源量の問題から、代替炭素資源であるメタノールや天然ガスから有用な化合物を生産する技術の開発が進んでいます。食品や化粧品、医薬品、バイオプラスチックなどに使用される化合物の乳酸にはL体とD体があり、化学合成法や乳酸菌などの微生物によって生産されます。しかし、多くの乳酸菌はL体乳酸しか産生できず、化学合成法ではD体とL体の混合物しか生産できないため、D体乳酸のみを効率的に生産可能な方法が求められています。
大阪公立大学大学院工学研究科の井上 義文大学院生(博士前期課程2年)、山田 亮祐准教授らの研究グループは、メタノールからD体乳酸を生産できる酵母菌Komagataella phaffii ※に着目。D体乳酸の効率的な生産に向け、D体乳酸の産生に必要なD-乳酸脱水酵素(D-LDH)遺伝子5つと、この遺伝子の発現を促進する特定のDNA配列(プロモーター)8つの最適な組み合わせを検討しました。その結果、ある乳酸菌由来のD-LDH遺伝子(LlDLDH)と、2つのプロモーター(pCAT1、pFLD1)の組み合わせが最も生産効率が高く、メタノールからD体乳酸を生産する他の手法と比べて約1.5倍生産量を向上させることに成功しました。
本研究成果は、2024年12月22日に国際学術誌「Biotechnology for Biofuels and Bioproducts」のオンライン速報版に掲載されました。
掲載誌情報
【発表雑誌】Biotechnology for Biofuels and Bioproducts
【論文名】Enhancing D-lactic acid production by optimizing the expression of D-LDH gene in methylotrophic yeast Komagataella phaffii
【著者】Yoshifumi Inoue, Ryosuke Yamada, Takuya Matsumoto & Hiroyasu Ogino
【掲載URL】https://doi.org/10.1186/s13068-024-02596-0
資金情報
本研究の一部は、JSPS科研費(JP22H03803)の助成を受けて実施しました。
用語解説
※ Komagataella phaffii:メタノールを単一炭素源として増殖できる酵母。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院工学研究科
准教授 山田 亮祐(やまだ りょうすけ)
TEL:072-254-9504
E-mail:ryamada[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06- 6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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