最新の研究成果
スマートブラシシステムの開発に初めて成功 ~匠の技術伝承に向けた繊細な動きのデジタル化へ大きく前進~
2025年1月30日
- 工学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇ブラシの動き、速度、力、滑りを検知可能なスマートブラシシステムを実現。
◇対象物の表面状態を検知可能。
◇匠の技術伝承やロボットへの適用などデジタル化へ期待大。
概要
大阪公立大学大学院工学研究科の本田智子研究員、北海道大学大学院情報科学研究院の竹井邦晴教授、東京大学大学院情報理工学系研究科の中嶋浩平准教授らの研究グループは、ブラシ構造に圧力センサを搭載させ、その出力を機械学習の一種であるリザバーコンピューティングで解析することでブラシの動き、速度、力、滑り、そして対象物の表面状態を同時検出するスマートブラシシステムを初めて開発しました。そして本スマートブラシシステムを用いて、数字の執筆をデータ化できることを実証しました。特にブラシが対象物表面を「滑る」情報を初めて検出することにより実現できたものです。また、このブラシの様々な動き情報に加え、対象物表面の状態を検知することができ、匠が表面状態に応じて変化させるわずかなブラシの動きなどもデータ化できる可能性を示すことができました。今後、本センサシステムをさらに発展させることでブラシや研磨などの匠の技術をデータ化することができ、それをロボットや若手にデータベースで伝承することが期待できるものです。
なお、本研究成果は、2025年1月30日にScience Advances誌に掲載されました。
開発したスマートブラシシステムの写真とその解析プロセス
掲載誌情報
【発表雑誌】Science Advances
【論文名】Flexible electronic brush: real-time multimodal sensing powered by reservoir computing through whisker dynamics(フレキシブル電子ブラシ:ウィスカーダイナミクスをリザバー解析することで実現する常時、マルチモーダルセンシング)
【著者】中村悠希1、本田智子2、松村紅怜2、若林聖史3、上原 功4、中嶋浩平4、竹井邦晴1(1北海道大学大学院情報科学研究院、2大阪公立大学大学院工学研究科、3大阪府立大学大学院工学研究科、4東京大学大学院情報理工学系研究科)
【掲載URL】
資金情報
本研究はJST AIP加速 JPMJCR21U1、JST ALCA-Next JPMJAN23F1、JSPS科研費 JP22H00594、JP24H00887、JST AIP加速課題 JPMJCR21U1、村田学術振興財団、武田科学振興財団の助成を受けたものです。
問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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