最新の研究成果

格子投影法における最適解像度を1回の撮影で推定可能に -データ処理量を削減し宇宙空間での応用を目指す-

2025年2月13日

  • 工学研究科
  • プレスリリース

概要

格子投影法は対象物の表面形状を計測する手法の一つで、プロジェクターから対象物の表面に格子パターンを投影し、それをカメラで撮影することで3次元的な形状を計測できます(図1)。この手法では、撮影した画像の画素ごとの明るさを用いて計測を行うため、画素数が大きいほど(解像度が高いほど)高精度な計測が可能です。しかし、宇宙空間でアンテナ等の大型構造物を計測する場合、膨大な撮影データを処理する必要があり計算コストもかかるため、対象物ごとに求められる計測精度を維持できる最適な解像度を探すことが必要です。

大阪公立大学大学院工学研究科の岩佐 貴史教授、河田 雅士大学院生(博士前期課程2年)の研究グループは、画像の撮影時に生じるノイズと画素ごとの明るさの関係に着目。従来の手法では、さまざまな解像度ごとに数十回ずつ撮影を行い、求められる計測精度を満たす解像度を見つけていましたが、たった1回の撮影で計測精度を推定できる計算式を見出しました。本計算式を用いることで、最適な解像度の推定にかかる時間の大幅な短縮が可能です。今後は本計算式の適用可能な対象物を拡大し、衛星用の大型アンテナの計測など宇宙空間での応用を目指します。

本研究成果は、2025年1月28日に国際学術誌「Optics and Lasers in Engineering」のオンライン速報版に掲載されました。

press_0213_1

図1 格子投影法による直径1.5mアンテナの3次元形状計測
カメラから見て、手前が赤色、奥が青色で示される。

物体の3次元形状を、非接触かつ短時間で計測する方法の一つに画像計測法があります。本研究は格子投影法という画像計測法に着目し、その計測精度を短時間で推定する方法を構築しました。この方法が将来の軌道上計測システムの開発に貢献することを願っています。

press_prof

岩佐 貴史教授、河田 雅士大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Optics and Lasers in Engineering
【論文名】Prediction of measurement precision for fringe projection photogrammetry using whole-space tabulation method
【著者】Takashi Iwasa, Masashi Kawata
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.optlaseng.2025.108853

資金情報

本研究の一部は、JSPS科研費 挑戦的研究(萌芽)(21K18780)、基盤研究(B)(23K26301)からの支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院工学研究科
教授 岩佐 貴史(いわさ たかし)
TEL:072-254-9238
E-mail:iwasa.takashi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs09