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最新の研究成果
1枚の画像からブドウの房の3次元形状推定に成功 ~間引く実を自動選定するシステムの開発へ一歩前進~
2025年2月19日
- 情報学研究科
- プレスリリース
概要
シャインマスカットや巨峰などブドウの中でも粒の大きな品種では、糖度を保つために1房あたりの実の数が制限されることがあります。また、房の形を円錐形に整えて見栄えを良くするためにも、実の間引きが必要です。ブドウの房はそれぞれ形も実の数も異なるため、間引く実を臨機応変に見極めることが必要です。しかし、ブドウの生育サイクルは1年で、技術の習得が難しいという課題がありました。
大阪公立大学大学院情報学研究科の内海 ゆづ子講師らと、大阪府立環境農林水産総合研究所の共同研究グループは、ブドウの実のように表面に模様がない球体の3次元形状を推定するため、デジタルカメラで撮影した1枚の画像から3次元形状を推定する単眼深度推定法に着目。3次元形状推定にはブドウの房を360度撮影する必要がありますが、ブドウ棚には多くの房があり、画角の狭いデジタルカメラで房全体を撮影することは困難です。そこで本研究では、画角が180度ある魚眼レンズを用いることで、房との距離を一定に保ったまま房全体を撮影し、1枚の画像からブドウの房の3次元形状推定に成功しました(図1)。今後は、ブドウの房の周囲画像から推定した3次元形状を統合し1つの房の3次元形状を再現することで、間引くブドウの実を自動選定するシステムの実現を目指します。
本研究成果は、2025年2月3日に国際学術誌「PLOS One」のオンライン速報版に掲載されました。
図1 ブドウの房画像の3次元推定結果
(a) 入力画像 (b) 入力画像の奥行き推定結果 赤が手前を表し、青が奥にあることを示す (c) (b)を3次元空間で描画した結果
掲載誌情報
【発表雑誌】PLOS One
【論文名】Unsupervised monocular depth estimation with omnidirectional camera for 3D reconstruction of grape berries in the wild
【著者】Yasuto Tamura, Yuzuko Utsumi, Yuka Miwa, Masakazu Iwamura, and Koichi Kise
【掲載URL】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0317359
資金情報
本研究は、電気普及財団研究調査助成、大阪府信用農業協同組合連合会 産学連携研究支援事業、立石科学技術進行財団研究助成(A)、日本生命財団 児童・少年の健全育成実践的研究助成からの支援を受けて実施しました。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院情報学研究科
講師 内海 ゆづ子(うつみ ゆづこ)
TEL:072-254-7830
E-mail:yuzuko[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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