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最新の研究成果
クマノミが選んだエサの積極的な給餌は、イソギンチャクの成長を支える
2025年2月26日
- 理学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇クマノミとイソギンチャク(宿主)の共生関係を餌に着目して調査。
◇餌の大きさや種類により、クマノミは自分で食べるか宿主に与えるかを判断。
◇クマノミの給餌が宿主の成長を促進させ、共に利益を得ていることが示唆される。
概要
クマノミはイソギンチャクを住処としており、毒の棘を持つイソギンチャクの触手によって捕食者から守られています。一方、クマノミはイソギンチャクの触手を捕食する魚類を追い払うなどの利益を宿主に与えるという、相利共生の関係が知られています。
大阪公立大学大学院理学研究科の小林 優也大学院生(博士後期課程3年)、近藤 湧生特任助教、幸田 正典特任教授、安房田 智司教授の研究グループは、愛媛県の室手海岸においてクマノミに餌を与えた際、イソギンチャクの触手に餌を付ける行動を目撃したことから、両者の共生について調査を開始。クマノミに与えた餌が本当に宿主のイソギンチャクによって消費されるのか、餌の大きさや種類が宿主への給餌に関係があるのか、給餌により宿主の成長が促進されるのかを実験しました。その結果、小さな動物性の餌や柔らかい緑藻はクマノミが食べ、大きな動物性の餌は宿主に与えることが分かりました。また、給餌された餌は宿主によって消費され、クマノミに給餌された宿主は、給餌されなかった他のイソギンチャクよりも高い成長率を示しました。宿主の成長の促進は、住処が大きくなるなどのクマノミの利益にもつながります。本研究結果により、給餌は両者にとって、これまで考えられていた以上に重要であることが示唆されました。
本研究結果は、2025年2月26日に、国際学術誌「Scientific Reports」に公開されました。
クマノミがイソギンチャクに給餌する様子
(動画 https://youtu.be/rraul0nTB1o)
<小林 優也大学院生からのコメント>
野外で繰り返し同じ個体に餌を提示したり、数ヶ月かけてイソギンチャクの成長を調べたりするのは大変でした。この行動は19世紀から知られていますが、十分な根拠がないにも関わらず、共生関係における重要性は低いとされてきました。この研究により、他の共生関係においても見直しを行う価値があることを提案できたと思っています。
掲載誌情報
【発表雑誌】Scientific Reports
【論 文 名】Active provisioning of food to host sea anemones by anemonefish
【著 者】Yuya Kobayashi, Yuki Kondo, Masanori Kohda, Satoshi Awata
【掲載URL】https://doi.org/10.1038/s41598-025-85767-9
資金情報
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費23KJ1838、22H02703、23H03868、JST次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2139-RS22A027、笹川科学研究助成2021-4082、大阪市立大学戦略的研究2019, OCU-SRG2021_BR10からの支援を受けて行われました。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院理学研究科
教授 安房田 智司(あわた さとし)
TEL:06-6605-2607
E-mail:sa-awata[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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