
最新の研究成果
金属原子が3個の分子同士が、酸化で結合し還元で解離する珍しい反応を発見
2025年3月5日
- 理学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇2個のロジウムイオンと1個の白金イオンを含む二つの錯体※が、それぞれのロジウムイオン同士でつながった錯体を合成。
◇金属原子が3個の錯体二つが酸化で結合し、その結果生成した錯体が還元で解離して元に戻ることを発見。
概要
金属イオンと硫化物イオンで作られる金属硫化物は、顔料や蛍光体、石油の精製触媒、機械の潤滑剤などに活用されています。
大阪公立大学大学院理学研究科の横山 愛夢大学院生(博士前期課程2年)、西岡 孝訓准教授らの研究グループは、高効率な触媒の作成を目指し、反応性が高い錯体を作るためにロジウムイオンと白金イオンを用いて錯体を合成。その結果、2個のロジウムイオンと1個の白金イオンを含む二つの錯体が、それぞれのロジウムイオン同士でつながった錯体が得られました。この錯体は、金属原子が3個の三核錯体が酸化して生成されたこと、また、還元によって元の三核錯体二つに解離することが明らかになりました。本研究結果は、分解しにくい有害な有機化合物を、利用可能な物質に変える触媒の開発に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2025年1月31日に国際学術誌「Chemical Communications」にオンライン公開されました。
図 ロジウムイオン間(赤点線間)の結合により三核錯体が連結された構造をもつ六核錯体の構造。Rh:ロジウムイオン、Pt:白金イオン、S:硫化物イオン。
当初は、三核錯体同士が結合することはないと考えていたため、いろいろなデータの辻褄が合わず何が起こっているのか見当がつきませんでした。その後、共同研究でミズーリ大学に留学した時の経験を活かして研究を進め、三核錯体が酸化・還元によって可逆的に結合・解離する珍しい反応を見つけることができました。
横山 愛夢大学院生
掲載誌情報
【発表雑誌】Chemical Communications
【論 文 名】Aerobic oxidation-induced virtual radical coupling of mixed-metal PtRh2 trinuclear complexes accompanied by the formation of a Rh–Rh bond
【著 者】Amiru Yokoyama, Hiroshi Nakajima and Takanori Nishioka
【掲載URL】https://doi.org/10.1039/D5CC00112A
資金情報
本研究は、科学研究費22K05146の支援の下で実施されました。
<用語解説>
※ 錯体:分子やイオンの一方から結合をつくるための電子が供給される配位結合によって生成する化合物。金属錯体では、中心となる金属イオンに電子を供給する分子やイオンが配位子として結合する。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院理学研究科
准教授 西岡 孝訓(にしおか たかのり)
TEL:06-6605-2569
E-mail:nishioka[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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