
最新の研究成果
船同士の衝突を回避する自動運転システムを開発 -AIがどの船を危険視し避けようとしているかを説明可能に!-
2025年3月12日
- 工学研究科
- プレスリリース
概要
少子高齢化や人口減少が進む日本において、貨物船や離島間連絡船などの船員不足が深刻な問題となっています。また、ヒューマンエラーによる海難事故を減らすためにも、船舶の自動運転技術の開発が進んでいます。自動運転の実現にはいくつかの課題があり、その一つが他船との衝突を避けるための避航操船の自動化です。近年はAIを活用した自動避航システムの開発が進んでいますが、船舶同士の衝突事故は甚大な被害をもたらすため、一度の判断ミスも許されません。そのため、AIが「どの船を危険と判断しているのか」、「どの船を避けようとしてその針路を選択したのか」を説明できない限り、AIが下した判断の安全性を示すことができず、実用化は困難です。
大阪公立大学大学院工学研究科の吉岡 舜大学院生(博士後期課程2年)、橋本 博公教授の研究グループは、一定の領域内に存在する全ての船に対する衝突危険度を数値化できるAIモデルを開発。本モデルで算出した衝突危険度と、AIが衝突を回避するために提案した行動によって危険度がどの程度変化したかの数値により、判断根拠と行動意図を説明可能になりました。本成果は、船の自動運転の早期実現に向けて、大きな一歩となることが期待されます。
本研究成果は、2025年2月21日に国際学術誌「Applied Ocean Research」のオンライン速報版に掲載されました。
明石海峡を航行する船舶
撮影・提供:池田 良穂大阪府立大学名誉教授
AIは高度な判断ができる一方で、中身が分からないといった課題がありました。今回の研究により自律操船AIの判断根拠や行動意図を説明できるようになったことで、海技者からの信頼も得られるものになったと思います。この研究が自動運航船の実現に貢献できると信じています。
橋本 博公教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Applied Ocean Research
【論文名】Explainable AI for Ship Collision Avoidance: Decoding Decision-Making Processes and Behavioral Intentions
【著者】Hitoshi Yoshioka, Hirotada Hashimoto
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.apor.2025.104471
資金情報
本研究は次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2139)およびJSPS科研費(23H01627)の支援を受けて実施しました。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院工学研究科
教授 橋本 博公(はしもと ひろただ)
TEL:072-254-9337
E-mail:hashimoto.marine[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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