最新の研究成果

魚類の顔認知能力についての総説を発表

2025年3月10日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇2015年に魚類が顔で親しい相手を見分けることを世界で初めて発表。
◇過去10年で明らかにされた魚類の顔認知研究の文献を網羅的に調査。
◇祖先の魚類の段階でこの顔認知能力が進化し、現在の陸上脊椎動物やヒトが引き継いでいると示唆。

概要

ヒトは主に「顔」で相手を識別します。また、霊長類や一部の鳥類も相手の顔で互いを識別することが知られています。

大阪公立大学大学院理学研究科の幸田 正典特任教授、十川 俊平特任研究員らの研究グループは、魚類が顔で親しい相手を見分けることを2015年に世界で初めて示しました。今回、過去10年で明らかにされた魚類の顔認知研究の文献を網羅的に調査。どの魚にも顔認知能力があるのか、その能力はヒトや哺乳類とは独立に進化したのか、それとも、祖先の魚類の段階でこの能力が進化し、子孫である現在の陸上脊椎動物やヒトが引き継いでいるのかなどについて総説論文を発表しました。魚類と哺乳類で顔認知のしくみが共通して見つかると、共通した進化的起源を持つ関係であることが支持されます。

本総説論文は、2024年11月27日に、国際学術誌「Frontiers in Psychology」にオンライン公開されました。

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図1 グッピーの雄11品種と雌2品種。品種間の雄の鰭(ひれ)/体側の色合いが違っても、目の下の銀箔色の模様はいずれにも存在する。色彩変異が少ない雌にも目の下の銀箔色は存在する。この銀箔色の形状は個体ごとに違っており、グッピーはこの銀箔色のある顔で個体識別をすると考えられる。(Sogawa et al. 2023; Kohda et al. 2024)

ヒト/類人猿/霊長類/哺乳類で主に見つかってきた顔認知能力は、魚類でも広く見られそうです。そして認知能力のメカニズムは脊椎動物で共通していると推察されます。やはりヒトの顔認知能力は、祖先の魚類段階で獲得された能力を引き継いでいるようです。

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幸田 正典特任教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Frontiers in Psychology
【論 文 名】The ability of teleost fishes to recognize individual faces suggests an early evolutionary origin in vertebrates
【著  者】Kohda Masanori, Sogawa Shumpei, Will Sowersby

【掲載URL】https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1497386

資金情報

本研究は科学研究費24K03238、23H03872の助成を受けたものです。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院理学研究科
特任教授 幸田 正典(こうだ まさのり)
TEL:06-6605-2739
E-mail:kohda.tanganyika[at]gmail.com
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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