
最新の研究成果
AIの力で宇宙のリングを探す 〜画像認識技術で銀河の泡状構造を効率的に検出〜
2025年3月19日
- 理学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇画像認識AIを活用した新検出モデルにより、従来数年かかっていた作業を数時間で完了。
◇天の川銀河で3,006個の泡状構造を検出し、そのうち1,413個は新検出。
◇系外銀河(大マゼラン雲やNGC 628)でも、本モデルの有効性を確認。
◇超新星爆発による大規模な泡状構造も検出。
概要
私たちが住む天の川銀河やその他の銀河には、中が空洞のリング状構造(泡状構造)が多数見られます。従来は人が目視で検出を行っていましたが、天文観測機器の高性能化に伴い取得データ量が増加しており、従来の手法では膨大なデータを処理しきれなくなっています。
大阪公立大学大学院理学研究科の西本 晋平大学院生(博士後期課程2年)、大西 利和教授、理化学研究所情報統合本部の川西 康友チームリーダー、新潟大学理学部の金子 紘之学術研究員らを中心とする共同研究チームは、画像認識AIを活用して天の川銀河や他の銀河に存在する泡状構造を効率的に検出する新しいモデルを開発しました。本モデルにより、これまで人の目で時間をかけて識別していた泡状構造を、高速かつ自動的に検出することが可能になりました。
本研究成果は2025年3月18日に国際学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」のオンライン速報版に掲載されました。
図1 スピッツァー宇宙望遠鏡で得られた天の川の赤外線観測データのうち、波長8μmと24μmのデータを学習することにより検出した泡状構造(緑: 8μm、赤: 24μm)。左側のリング図は、本研究で新たに検出の泡状構造(紫の点線)を示し、右側のリング図は、先行研究で同定され、本研究でも検出された泡状構造(白の点線)を示す。両波長を用いることで、大質量星形成に伴い作られた泡状構造を検出することができる。
掲載誌情報
【発表雑誌】Publications of the Astronomical Society of Japan
【論文名】Infrared Bubble Recognition in the Milky Way and Beyond Using Deep Learning
【著者】Shimpei Nishimoto, Toshikazu Onishi, Atsushi Nishimura, Shinji Fujita, Yasutomo Kawanishi, Shuyo Nakatani, Kazuki Tokuda, Yoshito Shimajiri, Hiroyuki Kaneko, Yusuke Miyamoto, Tsuyoshi Inoue, and Atsushi M. Ito
【掲載URL】https://doi.org/10.1093/pasj/psaf008
資金情報
本研究は、自然科学研究機構「若手学際融合研究プロジェクト」、JSPS科研費(JP23H00129、JP18H05440)、JST SPRING(JPMJSP2139)の助成を受けて実施しました。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院理学研究科
教授 大西 利和(おおにし としかず)
TEL:06-6605-7042
E-mail:tonishi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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