最新の研究成果

児童福祉費を増額した自治体で人口が増加していた -中小市町村の人口と歳出科目を巡る非線形な関係-

2025年3月19日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

概要

日本の中小市町村1の約83%が人口減少を経験しており、その割合は世界のどの国よりも高いため、効果的な都市政策の立案が求められています。

大阪公立大学大学院生活科学研究科 都市科学研究室の加登 遼講師は、中小市町村を対象に、2007年2~2022年の15年間における人口と歳出科目の非線形な関係を分析しました。その結果、人口一人当たりの児童福祉費が増加した自治体では人口が増加していた一方で、人口一人当たりの老人福祉費が増加した自治体では人口が減少していたことが分かりました。

本研究成果は、2025年3月6日に国際学術誌「Journal of Urban Management」に掲載されました。

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総合知を結集した都市シンクタンク機能を担う本学は、証拠に基づく政策立案(EBPM)の観点から、大阪都市圏の中小市町村を支援する役割を担っています。本研究により、限られた自治体の財源の中で効果的な政策を決定する「都市経営」の観点から、データサイエンスにより、児童手当や保育所・認定こども園の運営費、母子家庭の支援等を含む児童福祉費を増加させる有効性を示しました。

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加登 遼講師

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of Urban Management
【論文名】Effective per capita municipal expenditures correlated with population changes in small and medium-sized cities in Japan
【著者】Haruka Kato
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.jum.2025.02.006

資金情報

本研究は、JSPS科研費(23K26284、24K17421)の支援を受けて実施しました。

用語解説

※1 中小市町村…本研究では、政令指定都市・中核都市・施行時特例市以外の、その他都市・町・村を指す。なお、本研究では歳出科目と人口の関係性を調べるため、2007年~2022年の間に合併した自治体は、分析対象から除外した。

※2 2007年…「平成の大合併」のピークが終了すると共に、地方分権改革推進法成立に伴う第2次地方分権改革が始まった年で、自治体独自の政策や予算付けの意思決定が可能となった。一方で、2007年頃を境に人口減少が始まったともいわれており、2007年は日本の中小市町村にとって転機となった年といえる。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
講師 加登 遼(かとう はるか)
E-mail:haruka-kato[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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