最新の研究成果

理学研究科 教員らの共同研究による論文が「Organic Letters」の表紙に採用

2025年4月15日

  • 理学研究科

本学理学研究科の西川 慶祐講師、鶴田 智暉特任助教、森本 善樹教授らと、静岡理工科大学の鎌田 昂准教授の共同研究グループの論文「Asymmetric Total Synthesis of Isolinearol Using Low-Valence Titanium and Evaluation of Its Inhibitory Activity against Mussel Byssal Thread Formation」がアメリカ化学会の学術誌「Organic Letters」に掲載され、2025年4月11日にVolume 27, Issue 14の表紙を飾りました。

フジツボやイガイなどの貝類の着生を防ぐため、これまで船底塗料には有機スズ化合物が使用されてきました。しかし、毒性が非常に強く、海洋環境に深刻な汚染をもたらすことから、現在では国際的に使用が禁止されています。そのため、持続可能な開発目標(SDGs)の観点より、環境に優しい新たな防除剤の開発が求められています。

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本研究では、イガイが着生時に分泌する足糸の形成を阻害する、海藻由来のジテルペノイド類に着目し、これら天然物を基盤とした「 足糸形成阻害剤 」の開発を目指しました。その一環として、褐藻が産生する海洋ジテルペノイドの一種であるイソリネアロールの化学合成に成功しました。この合成では、低原子価チタン種を用いた分子内還元求核付加反応による骨格部分の構築と、ケトン側鎖部分の直接導入を可能にするカップリング反応が鍵となっています。また、合成サンプルを用いてその足糸形成阻害活性を評価する過程で、より単純な化学構造でありながら高い阻害活性と低毒性を兼ね備えた新規阻害分子も発見しました。 

<西川 慶祐講師のコメント>

表紙のデザインは、SF の世界観をモチーフにしており、イガイを巨大宇宙戦艦に見立てています。そこから発射される足糸のビームを、本研究グループが合成した化合物によるバリアで跳ね返すことで、海洋環境を守っている様子を表現しています。

掲載論文

【発表雑誌】Organic Letters
【論文名】Asymmetric Total Synthesis of Isolinearol Using Low-Valence Titanium and Evaluation of Its Inhibitory Activity against Mussel Byssal Thread Formation
【著者】Tomoki Tsuruta, Keisuke Nishikawa, Yukika Yoshino, Daiki Osada, Tatsuhide Miwa, Kazumi Nimura, Takashi Kamada, and Yoshiki Morimoto

【掲載URL】https://doi.org/10.1021/acs.orglett.4c04309

お問い合わせ

大学院理学研究科
講師 西川 慶祐(にしかわ けいすけ)
E-mail:knishi[at]omu.ac.jp
※ [at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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