最新の研究成果

お笑いコンテスト番組のデータから判明! 競争率が低い場合は1番手が最も有利

2025年4月24日

  • 経済学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇テレビ番組のお笑いコンテストの結果データを利用し、演技の順番が審査員の評価に与える影響を検証。
◇10組中5組の合格者を決める競争率の低いコンテストでは、1番目の演者が最も有利であると判明。
◇より公平な審査システムを設計するための重要な知見を提供することが期待される。

概要

大阪公立大学大学院経済学研究科の岡澤 亮介准教授らの研究グループは、NHK「爆笑オンエアバトル」で1999年~2014年に実施された約500回のお笑いコンテストの結果データを用いて、演技の順番が審査員の評価に与える影響を検証しました。この番組では、10組の若手お笑いタレントがくじ引きにより決められた順番で演技を行い、100人の審査員が合否を判定します。最終的に10組中5組のみが合格となり、ネタが放映されます。データを分析した結果、1番目の演者は他の順番の演者と比べて得票率が約5%~10%高く、最も有利であることが判明しました。演技順が後の方が有利であるという先行研究の報告とは異なる結果になった理由は、本研究対象が10組中5組の合格者を決める競争率の低いコンテストで、1番目の演者は平均的な評価を受けやすいことが有利に働いたためであると考えられます。本研究結果は、より公平な審査システムを設計するための重要な知見を提供すると期待されます。

本研究成果は2025年4月22日に、国際学術誌「Journal of Economic Behavior & Organization」にオンライン掲載されました。

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図:出演順が成績(得票率)に与える影響

1番〜10番のそれぞれの順番に割り当てられることによる得票率への影響の推定値を示す。

この研究はテレビで「M-1グランプリ」の出演順がくじ引きで決められているのを見たことがきっかけで生まれました。その後、「爆笑オンエアバトル」のコンテストデータがあることを知り、研究に着手しました。「人々の選択」について考えることは経済学の大きなテーマで、私たちの生活の身近な話題も研究の対象となりえます。この研究を通じて経済学の面白さが少しでも伝われば嬉しいです。

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岡澤 亮介准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Journal of Economic Behavior & Organization
【論 文 名】Is it advantageous to be first? Evidence from a TV comedy program
【著  者】Real Arai, Ryosuke Okazawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.jebo.2025.107009

資金情報

本研究は日本学術振興会の科研費(JP18K01658、JP23K02413)の助成を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院経済学研究科
准教授 岡澤 亮介(おかざわ りょうすけ)
TEL:06-6605-2286
E-mail:okazawa[at]omu.ac.jp

[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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