座談会 第3回(2022年度修了)
受講生
塚本英一さん 2021年度~2022年度受講生
インタビュアー
受講アドバイザー(司会)/山田裕美先生
医療・ヘルスケアの分野にアントレプレナーシップを伝えたい
豊富なキャリアを活かすために
受講アドバイザー
塚本さんは、総合商社、調剤チェーンなどヘルスケア業界でキャリアアップされてきて、今は調剤薬局の事業会社の代表取締役をされていますね。いろんな経験をされたのもあって、学生に向けてアントレプレナーシップの観点で何かを伝えたいと思われたのでしょうか。
塚本さん
そうですね。アントレプレナーシップを大学で教える教員の育成講座だと知って、そこにすごく魅力を感じました。新卒で就職した製薬会社を皮切りに数社でキャリアを積んできましたが、業務のなかで人材育成に携わることもありましたし、若い頃に起業したこともありますので、そのような経験を役立てたいと考えていました。実は30代の頃に社会人大学院でアントレプレナーシップ分野の研究をしていたこともありました。
受講生の塚本さん
受講アドバイザー
そうなんですね。お申し込みいただいたときはアントレプレナーシップ教育力育成コース開講が1年目だったので本講座の情報はあまりなかったと思うのですが、よく見つけてくださいました。
塚本さん
新聞で募集しているのを知りました。社会人大学院のアントレプレナーシップも1期生でしたから、そのような情報はキャッチアップするようにしていました。
受講アドバイザー
実際に講座を受けてみて、ご感想はいかがでしたか。ビジネスとはまた違う方面からアントレプレナーシップというものを学んでいただけたでしょうか。
塚本さん
初回の基礎科目は大学の運営や歴史といったところから始まるのですが、ビジネスとはかけ離れている内容だったので少し戸惑いました。しかし学びを進めていくうちに、今の大学の実情がよくわかりました。わたしが大学を卒業したのは30年ぐらい前で、当時は大教室で一方的に講義を受けていましたが、現在は学生が参加する実践的な学びが多くあることに驚きました。
学習面では、初めの頃は提出すべきレポートの内容や枚数等がわからなくて悩みました。それに調べることも多く、予想以上にレポートを書く時間もかかってしまいました。
受講アドバイザー
日々お忙しいと思うのですが、どのように働きながら勉強時間を確保されましたか。
塚本さん
土日に集中して取り組むのはもちろんですが、平日も通勤電車のなかで動画を観たりして隙間時間を活用しました。基礎科目の授業はeラーニングなのですが、配信がアップされたらなるべく早く取り掛かるようにしていました。
専門職の学生の可能性を広げる
受講アドバイザー
印象に残っている授業はありますか。
塚本さん
広瀬先生の「ベンチャービジネスコンサルティング演習」は、インパクトがありました。最初から「はい、考えて」という感じで、学生にすごく考えさせるのが印象的でした。実務家出身の先生ですが「知識を伝える」ところから「考え方を伝授する」ことにシフトされたとおっしゃっていました。それに、将来授業を持ったときの勉強にもなりました。「自分が実際に実務家教員になった場合はこのような感じで教えればよいのか」「こんな工夫もできるのか」などと考えながら受講しました。
受講アドバイザー
締めくくりの授業では今後の自分のプランを発表するわけですが、塚本さんは薬学部の学生にアントレプレナーシップを伝えたいとおっしゃっていましたね。
塚本さん
そうですね、発表では絞ったほうがいいと考えて薬学部にしましたが、薬学部に限らず医療や人間科学といったヘルスケア関連の専門領域の学生を対象にしたいと考えています。専門知識を有しその分野で活躍している人たちは、その現場で疑問や課題を日々感じているのではないでしょうか。その課題を解決に繋げる行動こそ、アントレプレナーシップの種を見つけることになると思います。
受講アドバイザー
改善や課題の発見は、アントレプレナーシップとして必要な部分ですよね。
塚本さん
本当はそのような専門領域を持った方々を、もっとその領域だけではない分野に活躍の場を広げてあげたいとも考えています。やはり医師や薬剤師などは、18歳で専門職系統の学部に進学してしまうと、その分野や仕事に就くのが大半になります。そうではなく、他のさまざまな業種や職種がある、というのを知らせてあげたいし、アントレプレナーの道も作ってあげたいと思います。
受講アドバイザー
確かに、製薬会社を起業したり、医療系の書籍を発刊したりする方もいらっしゃいますね。
塚本さん
約30年この業界にいますが、本当にいろいろな変化が起きています。5年、10年、30年経つと全く違う世界になるため、そこにチャンスがあると学生に伝えていきたいです。経営者や起業された方も数多く知っているので、授業に招聘したりケーススタディとして取り上げたりしたいと考えています。