研究内容
プロジェクトの研究内容
本国際交流研究では、中国、韓国、日本から、細胞老化の専門家が集結し、研究対象としては、インビボ・イメージング、老化モデル生物、がんを含む加齢性疾患等を対象とし、十分な実績のある国際的にもトップレベルの研究者で構成されている。技術面でも、生体を構成する老化細胞における、シングルセルレベルの高度なトランスクリプトーム解析やエピゲノム解析技術を有する研究者が複数参加している。本国際研究交流における細胞老化研究を通して、個体老化、加齢性疾患の制御に向けた研究を実施し、東アジアにおける健康長寿の実現を目指す。本研究では、以下の3つのチームに分かれ研究を実施する。
チームA: リーダー Mei Tian (中国)
<目的> 細胞老化の新規バイオマーカー探索および生体イメージングツールの開発
<内容> マルチ・オミックス解析によるバイオマーカーの探索、陽電子断層撮像法(PET)など臨床応用可能な老化細胞の生体イメージング法の開発。本チームリーダのMei Tian教授の専門性(分子イメージング)を生かし、疾患モデルや臨床サンプルを用いて加齢性病態を早期に検出するイメージングバイオマーカーを同定、そして臨床応用可能な分子プローブを開発し、基礎と臨床を一体化する生体イメージングを目指す。
チームB: リーダー Jaewhan Song (韓国)
<目的> モデル生物を用いた細胞老化の役割とメカニズムの解明
<内容> モデル生物や疾患モデルを使った研究で多くの業績がある研究者が集結し、様々なモデル生物において、細胞老化の役割の解明を目的とし、老化細胞に対し、マニピュレーションや除去を実施し、フェノタイプの変化を見ることで、老化細胞の役割を明らかにする。
チームC: リーダー 大谷直子 (日本)
<目的> 生体における細胞老化の病態生理学的研究
<内容> 生体における細胞老化の誘導メカニズム解明、SASPを介する老化細胞と周囲の細胞の相互作用。本チームでは、生体におけるSASP関連研究で多くの業績がある大谷直子をリーダーとして、主にマウスモデルを用いて、加齢性疾患や加齢にともなうがん等の各病態でどのような刺激が細胞老化を誘導するのか、また、各病態モデルで細胞老化に伴い生じているSASPにより、老化細胞の周囲細胞にどのような作用が生じるのか、細胞間ネットワークの解明を目指し、各病態の治療・克服につながる病態生理学的研究を行う。