研究紹介(西岡)

研究内容

糖を導入した金属錯体についての研究

遷移金属錯体は、触媒や医薬品として利用されています。たとえば不斉触媒Ru-BINAP錯体や抗がん剤シスプラチンなどはその代表例です。糖は、高い水溶性をもつ光学活性物質で、生命活動において重要な役割を担っています。このような糖を、触媒能に優れた金属イオンと強い結合をつくるN−ヘテロ環カルベン(NHC)配位子に導入することで、新たな機能性錯体を合成することを目指しています。これまでに、糖を金属錯体に導入するための新しい方法として、N-ヘテロ環カルベン(NHC)配位子を用いる手法を開発し、世界で初めて、糖修飾NHC錯体を発表しました。また、糖を導入した三座配位子を持つパラジウム錯体を合成し、この錯体が、水中での鈴木−宮浦クロスカップリング反応において高い触媒回転数を示すことを明らかにしました。

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多電子酸化還元能をもつ多核錯体についての研究

自然界には、興味深い多電子反応が多くあります。例えば、光合成における二酸化炭素の還元や水の酸化、また、ニトロゲナーゼによる窒素固定反応等がこれにあたります。また、物質の変換には、結合の生成と切断が必須で、分子の活性化には複数の反応活性点が必要です。こういった観点から、多電子酸化還元能を持ち、複数の反応活性点を提供出来る触媒となりうる物質の創成を目指し、新しい多核金属錯体の合成研究を行っています。これまでに、三重架橋硫化物配位子を持つ混合金属錯体を新たに合成し、この錯体の電解還元触媒能について明らかにしています。

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