分子スピン科学とスピンテクノロジー
Molecular Spin Science and Spin Technology
Molecular Physical Chemistry and Spin Science
「有機分子からは磁性をもつ物質はできない」という化学や物理学の常識を覆した「有機強磁性」 の概念およびそのモデル有機高スピン分子の研究を内外で最も早くから行い、 その成果を発展させて「スピン化学」/「スピン化学物理」の体系化と分子性・ 有機磁性をベースとした新規な磁気量子効果/スピンマグネティクスの研究を理論と実験の両面から行っています。 「有機磁性」(分子磁性ともいう)は、化学、物理学、高分子科学、 生物学を横断する最新の学際領域(inter- or multi-disciplinary area)であるばかりでなく、 その潜在的応用面から分子磁性がもつ量子機能発現の多様性が注目される次世代の「未来基礎技術」 の一つです。分子性・有機磁性/スピン化学は、 学問領域としては文字どおり最新の「ボーダーレスの科学」としての特徴をますます強くしています。
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化学や物理学に新しい概念的進歩をもたらす物質群の設計・創製・キャラクタリゼーションや それらの電子状態・スピン構造の理論的解明やスピンマグネティクスの開発
開殻高スピン分子に対する電子状態理論の開発を行い、電子・分子構造の研究を行っています。 また、分子軌道法を用いた微細構造パラメータ(ゼロ磁場分裂定数)の計算手法の開発を行い、 高スピン電子構造の解明を進めています。 -
超高スピン分子・クラスター系/高分子磁性体、分子性超高スピン金属クラスター系等の微視的量子スピン効果および半巨視的磁気量子現象の解明
研究手段には、現在主としてFT(フーリエ変換)パルス電子磁気共鳴法や多重磁気共鳴法等の 新しい分光学的手法と超伝導量子干渉計(SQUID)等を用いています。 -
電子スピン磁気共鳴法における新しい方法論・実験手法の開発や磁気共鳴に関する一般理論の定式化・ 解析方法の一般化、高汎用性ソフトウエアの開発
パルスESRによる2次元電子スピンニューテション法を用いて高スピン分子のスピン多重度の直接決定や、 定量的な遷移確率・遷移モーメントの評価を行っています。 -
分子スピン量子コンピュータの開発
任意波形マイクロ波及びラジオ波パルスを用いる電子スピン共鳴/電子-電子多重共鳴/電子-核多重共鳴(ESR/ELDOR/ENDOR) を用いて電子や核のスピン状態を制御することにより,量子情報操作を実現するとともに, 量子演算過程における量子位相制御の実験的検証を行っています。 -
有機二次電池の充放電機構を分子レベルで解明
新しいESR測定技術の開発するとともに、二次電池における充放電機構の分子レベルでの解明を目指しています。