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2025年4月11日

  • 研究

鶴田 智暉特任助教、西川 慶祐講師、森本 善樹教授らの研究成果が Organic Lettersに掲載・Front Cover に採用

本学理学研究科化学専攻の鶴田 智暉特任助教、西川 慶祐講師、森本 善樹教授らと、静岡理工科大学の鎌田 昂准教授の共同研究グループの論文「Asymmetric Total Synthesis of Isolinearol Using Low-Valence Titanium and Evaluation of Its Inhibitory Activity against Mussel Byssal Thread Formation」がアメリカ化学会の学術誌「Organic Letters」に掲載され、2025411日にVolume 27, Issue 14の表紙を飾りました。

フジツボやイガイなどの貝類の着生を防ぐため、これまで船底塗料には有機スズ化合物が使用されてきました。しかし、その毒性があまりにも強いため、海洋環境に深刻な汚染をもたらし、現在では国際的に使用が禁止されています。持続可能な開発目標 ( SDGs ) の観点から、環境に優しい新たな防除剤の開発が求められています。本研究では、イガイが着生時に分泌する足糸の形成を阻害する、海藻由来のジテルペノイド類に着目し、これら天然物を基盤とした「 足糸形成阻害剤 」の開発を目指しました。その一環として、褐藻が産生する海洋ジテルペノイドの一種であるイソリネアロールの化学合成に成功しました。この合成には、低原子価チタン種を用いた分子内還元求核付加反応による骨格部分の構築と、ケトン側鎖部分の直接導入を可能にするカップリング反応が鍵となっています。また、合成サンプルを用いてその足糸形成阻害活性を評価する過程で、より単純な化学構造でありながら高い阻害活性と低毒性を兼ね備えた新規阻害分子も発見しました。

詳細は以下をご覧ください。

本文: Tomoki Tsuruta, Keisuke Nishikawa,* Yukika Yoshino, Daiki Osada, Tatsuhide Miwa, Kazumi Nimura, Takashi Kamada, and Yoshiki Morimoto,* "Asymmetric Total Synthesis of Isolinearol Using Low-Valence Titanium and Evaluation of Its Inhibitory Activity against Mussel Byssal Thread Formation", Org. Lett. 27, 3489–3494 (2025).

Front Cover:Organic Letters Vol. 27 No. 14 - ACS Publications

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