研究内容

原子核物理学とは

「物質の究極」を知りたいという欲求、それはいわば人間の本能的なものです。そして、それこそが私たちが研究している『原子核物理学』の出発点でもあります。原子核は原子の中に粒のように存在する、とても小さな物体です。自然は、あたかもその姿を人間の前に素直にさらけだすことを拒んでいるかのようです。しかしながら、この原子核こそが物質の質量の99.97%以上を占めており、私たちが普段、「重い」あるいは「軽い」などと言っているのは、間接的にこの原子核の存在を観測していることになるのです。原子核とは、実はそのように身近なものであり、我々の身の回りに存在する物質の究極的な構成要素です。原子核は原子の内部に電子を閉じ込めておく力の源を与えています。それでは、その原子核自体はどのように出来上がっているのでしょうか?それを明らかにすることが、『原子核物理学』の究極の課題です。

<現在進行中の研究>
  • 中性子過剰核の構造と反応:中性子が陽子の2倍以上もある奇妙な原子核の探求
  • 原子核構造の統一的な理解を目指した模型の提案・開発
  • 陽子や中性子に作用する「核力」が原子核構造に及ぼす影響の理解
  • 宇宙における元素合成過程(元素の起源)の解明への寄与
  • ニュートリノと原子核の相互作用が元素合成へ与える影響
  • 電子以外(ミュー粒子、反K中間子)が原子核の周りをまわるエキゾチック原子の性質
  • がん治療など、医学的応用への寄与を目指した原子核構造・反応研究

本研究室に興味のある学生へ

量子力学を駆使し、ミクロな世界の探求をしてみたい方にお勧めです。原子核の理論研究を行うためには、少なくとも学部レベルの基礎物理学(特に量子力学)、数学の知識は必須です。コンピュータを用いた数値シミュレーションに興味がある方も大いに歓迎です。研究室見学は随時受け付けておりますので、興味があれば気軽に問い合わせてください。