取り組み事例

2024年7月8日

  • 環境マネジメント推進室

【教員取材】公害地域の再生と環境再生のまちづくり(大阪公立大学大学院経営学研究科 除本理史先生)

meeting

今回、除本先生を取材した理由​

環境の研究をしているのは理系が多いイメージでした。実際に、過去の環境報告書でも理系の先生方に取材を行ってきました。ですが、文系の先生方も環境の研究をしているということを知り、経営学研究科の除本先生にお話をうかがいました。​

研究内容や目的は? ​

私は経済学の博士号を取得しており、主に環境経済学という分野で活動しています。​

公害関連の問題を研究しており、特に公害地域の再生や環境再生のまちづくりに取り組んできました。2011年の東日本大震災以降は、福島原発事故も研究対象としています。

私の学位論文の主な内容は、被害の補償に関する費用負担についてで、加害者に責任を果たさせながら被害の救済を進めるための制度作りやロジックの立て方についてです。それを出発点として、公害問題を中心にさまざまな研究をしてきました。​ 

経営学研究科の研究者として、環境や公害などの研究をしようと思ったきっかけは? ​

私自身は一橋大学出身ですが、公害研究委員会という団体で、過去に大阪市立大学の商学部で教鞭をとられた宮本憲一先生(公害研究の第一人者)にお世話になっていました。​

一橋大学、大阪市立大学などの旧商科大学は元々実学的な側面を持っており、商学部では現在も、地域研究や経済地理学などの講座を持つことが多いです。宮本先生の専門分野は地方財政や地域経済で、日本全体の経済構造をマクロ的にとらえるだけでなく、地域に焦点を充てた視点も持っていました。​

私も地域研究と重なるような環境問題研究をしています。​

公害資料館という地域の人が交流して勉強できる場の開設や運営にも​関わり、地域住民から話を聞きながら冊子を作成したり、公害も含む​地域の歴史をストーリー化していくというような活動もしています。​ 

除本先生の環境政策ゼミでおこなった「水島コンビナート&ワークショップ」について​

2022年度ゼミでは、岡山県倉敷市水島の公害について研究し、年度の前期に文献で公害のことを勉強した上で、後期には地域の人々と協力して実践的な活動をしました。​

公益財団法人水島地域環境再生財団(みずしま財団)と協力し、公害を含む地域の歴史を伝える観光案内板を作成しました。このプロジェクトは、市役所や地域企業も参加する「みずしま滞在型環境学習コンソーシアム」(みずしま財団が事務局)が事業主体となり、多くの関係者が協働しました。​

看板の設置場所は、ワークショップを通して地域住民の​意見を交えながら決定しました。公害問題の解決への取り​組みも地域の魅力の一部として掲載しています。​

看板の場所がわかるように観光マップも作成しました。​地域住民にとっては看板を見ながら地域のことを勉強でき、​観光に来た人などには説明板としても役に立つというような​効果を狙っています。​

地域の環境に対して、大学や学生ができること・すべきことは? ​

授業の一環として、地域の環境問題に学生と教員が関われるようにすることです。​

長期休暇を活用するなどして、教室外で地域の問題に取り組む科目を増やす必要があります。また、環境問題やSDGsに対する取り組みを大学全体の方向性の軸として、具体的な行動に移していくことが必須です。大学や行政、企業、市民などが連携をとり、協力しながら進めることでSDGsの達成に近づくと考えます。学生間には環境問題に取り組んでいる団体が、大学規模のものから全国規模のものまでたくさんあります。地域環境に対するアクションとして、それらの活動について知ることから始めてみてほしいです。​

学生へのメッセージ​

環境問題は国際的にも大きく取り上げられているので、関心は非常に高まっていると思います。一方で、今の若い人には、アクションを起こすことで変化が起きるという感覚が弱く、無力感の強い状態のように感じます。若い人たちが持つ問題意識を社会が尊重することが重要になると思います。人々の意見や起こしたアクションが効力を持つ、新しい意思決定の仕組みが必要になり、そのための社会変革が重要になると思います。​

学生コメント​

地域を対象にした研究と環境とのつながりについてのお話を聞いて、漠然とした環境問題に対するイメージがより身近なものとなりました。近年、SDGsというワードだけが先行し、その詳しい内容や具体的な取り組みなどが周知されていない気がします。地域の企業や身近な団体の活動を知ることから始めてみると、SDGsをより自分ごととして考えられると思いました。個人個人が環境について意識していくことが、地域環境の向上さらにSDGsの達成につながるのではないかと考えました。​

大学の授業やゼミ、研究で学んだことを活かして、実際に地域の人々と協力した活動を積極的に行っていることは、とても良いことだと感じました。公害や環境のまちづくりの研究をしているのは、理工学の先生ばかりだと思い込んでいたのですが、今回の取材で経営学の先生にお話をうかがえて、良い経験になりました。​

自分の知らない活動がおこなわれていて、それがさまざまな面で効果があることがわかりました。新たな視点からのアプローチが知れて、勉強になりました。​

その他本法人の環境パフォーマンス・環境活動は「公立大学法人大阪 環境報告書」をご覧ください。

https://www.omu.ac.jp/about/efforts/environment/

該当するSDGs

  • SDGs11
  • SDGs12
  • SDGs17