取り組み事例
2024年7月15日
- 環境マネジメント推進室
【他大学訪問】大学での環境への取り組み(九州大学 伊都キャンパス)
大学におけるモデルケース
今回取材した九州大学の伊都キャンパスでは、環境にやさしい様々なエネルギーの利用や研究が進められていました。エコセンターでの取り組みは、本学を含めた多くの大学でも取り入れられる可能性を秘めたモデルケースになるのではないかと思います。
九州大学エコセンター 九州大学エコセンターでは、ペットボトルや空き缶などの資源化や、キャンパス内の除草作業などがおこなわれています。多くの場合、これらの業務は外部業者に委託されていますが、九州大学では学内組織がおこなっています。 学内から「お金を払って業者に委託するより、学内で資源としてリサイクルできないか」という意見があがったことに加え、障がい者雇用の促進にもつながるということから、2010年にエコセンターが設立され資源化業務が始まりました。 この資源化業務とは、伊都キャンパスで集められた資源ごみを、手作業で分別・洗浄をおこなったのち、ペットボトルは粉砕してフレーク状に、缶類は圧縮してブロック状に加工して、再資源化できる状態にして、回収業者に売却するというものです。同時に、ペットボトルキャップを集めて世界の子供たちにワクチンを届けるエコキャップ運動もおこなっています。 |
ごみの資源化で障壁となるのは、不完全な分別です。ときには、残飯やたばこの吸い殻などが資源ごみに混入していることもあり、作業の際にひどい悪臭が漂います。
エコセンターでは、学内に向けて「同じ大学職員であるエコセンターの作業員が分別・洗浄をおこなっているということを忘れないでほしい」と呼びかけ、ごみの分別意識の醸成にも努められています。
近年では業務の幅を広げ、構内の除草や草刈り、清掃活動などをおこなう業務も担われるようになりました。屋外での作業の中で、多くの大学関係者の目につくことで、認知度も少しずつ高まっているそうです。
エコセンターの設立は、多くのメリットをもたらしました。資源ごみの売却による収益はもちろん、作業員として働かれている障がい者の方々の丁寧な仕事によって、業務委託のころよりも質が向上し、高い費用対効果が得られているといいます。 これらの実績をもとに、今後も活動の場を広げていくことを検討されています。 |
大規模な太陽光発電 2005年のキャンパス移転を機に、大規模な太陽光パネルの建設が進められ、それは九州大学内の太陽光発電量の約3/4を占めています。今回、普段は立ち入ることのできない屋上に案内してもらい、太陽光パネルを間近で見学しました。発電された電力は、キャンパス内で自家消費され、通年実績では学内の消費量の1%ほどを賄っています。 今後は、設置したパネルが経年劣化することによる維持管理が課題です。本学は、太陽光発電が未導入であるため、ここまで大規模に運用されていることに驚きました。 |
水素ステーション 水素エネルギーは、水素と酸素の化学反応によって生成される電気エネルギーのことです。生成時に水のみを排出し、CO2を排出しないため、低炭素社会の実現に向けて注目されている一方、実用化には課題もあります。 九州大学では、福岡県や複数の地元企業と水素エネルギーの研究に関する産学官連携をおこなっています。その取り組みにおいて、九州大学は、その場で水素を生成し自動車に供給する、オンサイト型の水素ステーションを設置し、実証実験をおこなっています。 今後は、伊都キャンパスと鉄道駅を結ぶ路線バスなどで実際に使用される予定もあるそうです。 |
学生コメント
九州大学のエコセンターの取り組みは、本学を含め、多くの大学でも取り入れられる可能性を秘めたモデルケースとなっていると感じます。広大な敷地面積を有する伊都キャンパスでは、全19か所のごみステーションからトラックでペットボトルや空き缶などの資源ごみが集められているそうです。
本学でも、主要なキャンパス間の距離が近いため、一か所に集めて処理をおこなうことで、スケールメリットを得ることができるのではないかと考えました。この取り組みは、先に述べたように多くのメリットが同時に得られます。ただし、そのためには、立ち上げて終わりにするのではなく、携わる人々が障がい者の方々や関係者たちと真摯に向き合い、活動の継続に力を注ぐことが必要です。単にメリットが多い、ということだけで継続ができる事業ではないとも感じました。
水素ステーションは九州大学独自の事業ではありますが、太陽光発電は、一般家庭にも多く普及し、新築建設の際には当たり前の選択肢となっています。
本学では、統合に伴って新学舎建設が相次いでいますが、これらにも太陽光発電の導入を検討してほしいと思います。特に、昨今は社会情勢を背景に電力料金の高騰が大学内でも問題となっており、脱炭素社会の実現に向けての問題解決の一助ともなるはずです。
その他本法人の環境パフォーマンス・環境活動は「公立大学法人大阪 環境報告書」をご覧ください。
該当するSDGs