取り組み事例
2024年7月29日
- 環境マネジメント推進室
【企業等訪問】ESGー今求められる企業の姿ー(株式会社クボタ)
大阪市に本社をおく株式会社クボタでは、グループ全体で1999年から毎年、環境報告書を作成しています。現在では、「クボタグループ ESGレポート」として、環境に対する取り組みや経営方針などをまとめて公表しています。
今回、株式会社クボタの曽我さま、井上さま、稲田さまに、ESGレポートを作る際に意識していることや、大阪公立大学に向けてのアドバイスなど、貴重なお話をうかがいました。
ESGレポートを作る際に意識していること
曽我:まず、ESGレポートを作る大きな目的は、会社として適切に評価されることです。株式会社クボタは上場している会社であり、投資家や会社を評価する機関に読んでもらうことを前提にしています。
ESGレポートの内容である、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)は、移り変わりが激しいという特徴があります。この20〜30年はこの分野に対する注目度が年々高くなっており、世の中の動向や興味の対象をよく観察して応えられるよう、常に情報収集をしています。
▲稲田さま |
クボタアグリフロントについて 稲田:クボタアグリフロントは、2023年の6月末に北海道でグランドオープンした、『食と農業』に関する学習施設です。開設の目的はいくつかありますが、社会貢献、広告宣伝の意味が強く、当面利益確保は考えていません。長い目で見れば、農業に興味を示していただいて携わってもらい、クボタの農業機械を買っていただくというように最終的には返ってくると考えています。ぜひ北海道に行かれた際には見学いただければと思います。 |
---|
環境保全は利益を直接生まないものである一方で、企業は利益がないと成り立たないというジレンマについて
曽我:そもそも企業活動自体が今の地球環境を前提にして動いています。昔は環境問題が企業活動外の問題ととらえられていました。しかし最近は、『環境保全に取り組むことが企業自体の存続につながるので、企業も環境保全に取り組むことが必要だ』という考えが広まっています。
従業員に目標をアピール、意識を全体的に高めるために取り組んでいること
曽我:環境月間として会社全体で意識を高める期間を設けています。
井上:グループ従業員に向けて定期的に配布している冊子の中で、統合報告書※1やESGレポートのことなどを説明しています。企業にとってのマテリアリティ(重要事項)に加えて、それが自分の仕事にどう関係しているのか、堅苦しくない表現で具体的にわかりやすく書くようにしています。
大阪公立大学の環境報告書へコメント
曽我:学生さんが主体となって作られることは珍しく、素晴らしいことです。作るだけでも環境問題などについて勉強になって良いと思うのですが、あとはもう少し外を意識することが必要です。具体的に言うと、目標みたいなものがあってもいいと思います。
「大学としてこういう方向へ向かっています」と分かるものがあると、やっていることの重要性が伝わるのではないでしょうか。
井上:細かくデータを取られているので、今後作り続けていけば積み重なっていくと思います。過去のデータとの比較が見られるようにすると良いのではないかと思います。また、せっかく作るのでしたら堅苦しいものではなく、若い皆さんの環境に対しての予測やビジョンなどを載せてもいいのではないでしょうか。
まず方向性を定め、次に得られたデータと比較し、それが良いのか悪いのかという内容に膨らませていくとより良いものになります。これからどうしていくべきかという話題をインタビューの内容に入れるととてもいいですね。
稲田:将来の方針があると今の現在地がわかり、そのうえでこれからどうしていくかというのがあると、流れとしてわかりやすくなります。今すぐにできることではないですが、環境報告書から進化させてCSR報告書※2にしていくことで、報告書の守備範囲が広がっていきます。
※1 統合報告書… 企業が発行するもので財務情報と非財務情報、両方を掲載したもの ※2 CSR報告書… 企業が自身の持続可能な経済、環境、社会的な活動に関する情報をまとめた文書。すべての企業は社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)を持ち、経済的な利益だけでなく、社会や環境に対して責任を果たさなくてはならない。
◀ 取材の様子 |
その他本法人の環境パフォーマンス・環境活動は「公立大学法人大阪 環境報告書」をご覧ください。
該当するSDGs