取り組み事例
2024年8月5日
- 環境マネジメント推進室
【企業等訪問】環境問題に向き合う(国立研究開発法人国立環境研究所)
幅広い環境研究に学際的かつ総合的に取り組む公的な研究機関「国立環境研究所」において、環境報告書の作成や運営に携わる8名の方々に、環境報告書や環境問題を考える上で重要なポイントなどについて、研究者の視点を中心にお話をうかがいました。
環境報告書を作成する際に気を付けていること
企業や自治体、学生の方など一般の方々の目に触れる冊子ということで、できるだけ読みやすいように作成することを意識しています。
専門的な用語をわかりやすく表現するために、事務担当などに専門外の視点から意見を出してもらったり、数字は表やグラフにすることでビジュアル的に表現しています。
研究所で活動する人たちへの周知も意識して、研究者だけでなく事務担当にも発信できるよう心がけています。
発信はどのようにしているか
研究成果の発信は、主に論文や学会誌など専門的なところでおこなっています。ですから、環境報告書では、基本的には一般の方々に伝わりやすいということを意識しています。
外部で研究所主催のシンポジウムを行う時などに配布することで、理解を深めていただくということもしています。
環境報告書を作成したことによる具体的な効果
なかなか手応えを感じにくいところはあります。例えば、環境報告書はホームページなどで公開していますが、新たな研究成果やイベントなどの記事の方が圧倒的にアクセス数は多くなり、環境報告書は目を引くものではないというふうに思います。
その一方で、所内では世の中の動向と同様に光熱水量がひっ迫しているため、その改善にも報告書のデータを活用しています。
環境問題を考える上で重要なポイント
社会と環境の繋がりを考えることがポイントであると考えています。例えば、持続可能な社会を構築するときに障害となっている環境系の問題があります。
環境というのは、主体があった上でのその周りのことなので、主体の定義が重要になってきます。例えば人間の周りなのか、昆虫の周りなのか、何を主体としてとらえるのかによって変わり、さまざまな見方があると思います。
環境問題に興味を持ってもらうためにできること
まず自然に興味をもってもらうことが重要になると考えています。自然のおもしろい面や重要な面を、興味がない人にでもわかりやすくインパクトのある形で提示することが重要ではないかと思います。例えば、害獣の駆除についてです。生存領域を人に奪われた結果、人の生活圏に入ってきて害獣として駆除されるような動物もいます。これまで知らなかった視点を知り、それが気づきになることもあります。
自分がインパクトを感じた内容を記事にしたり探したりして、それらを発信することもひとつの方法だと思います。
食料難に対しては昆虫食の開発、CO2の排出を削減するためには車の使用を減らすなど最適解があると思うが、それは環境問題の解決につながるか
最適なものが最高のものということではないと思います。過去にはフロン、昨今ではプラスチックなどですが、良いと思われていたものが将来にも良いとは限らないです。最適な解は一時的なものであり、永続的ではないと思って新たな策を考えた方がいいと思います。
学生へのメッセージ
エビデンスをもってきちんと説明できるように、自分で考えることが大切だと思います。そのために深く調べたり、勉強したり、関心をもって様々な立場から物事を見たりしてほしいです。深く追求して、広く周りの人に知ってもらうことを意識することも大切だと思います。
▲リモートでの取材の様子
その他本法人の環境パフォーマンス・環境活動は「公立大学法人大阪 環境報告書」をご覧ください。
該当するSDGs