研究

RNAの細胞内輸送機構とその破綻に伴う疾病発症機構

の解明

(片平)

内部が高度に区画化され、さまざまなオルガネラを持つ真核細胞では、タンパク質やRNAといった生体分子の細胞内輸送が重要な役割を果たします。最大のオルガネラである核は、内部に染色体として遺伝情報を包含し、RNAの転写、プロセシングやDNA複製の場として機能します。一方、タンパク質翻訳装置であるリボソームは細胞質に存在します。RNAの転写・プロセシング、タンパク質翻訳といった素過程が細胞内の異なる区画で行なわれるため、核-細胞質間における両方向性の輸送が、遺伝子発現において必須のプロセスとなるわけです。

私たちのグループは、RNAの核‐細胞質間、あるいは、細胞内輸送の基本的な分子メカニズムについての研究を行なうとともに、ウイルス感染症など、さまざまな病態における輸送破綻の分子メカニズムの解明といった応用研究も行なっています。より詳しい説明を見たい方は、***のページをご覧ください。

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肝臓細胞の構造的、機能的な相互作用の仕組みに基づく抗線維化治療法の開発 (松原)

肝臓細胞の細胞間相互作用:肝臓は、他の臓器に比べて細胞外マトリックスが少なく、肝重量に対する占有率は約0.6%であります。組織学的には、1個の肝星細胞が、30〜40個の肝細胞をスパイクと呼ばれる突起を介して接触しています。私は、肝細胞と肝星細胞の細胞間相互作用の破綻が、一連の病理学的反応の主な引き金になると考えています。そこで、本研究室では、細胞間クロストークにおける細胞膜の重要性に着目し、肝線維化症の進展機構の解明を目指します。さらに、これらの知見を基に、ハイスループットスクリーニング系を構築し、抗線維化および発癌治療薬の開発を行っています。

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