研究
研究内容
生理学の目的は細胞、組織、臓器、生体といった様々なレベルで「機能」を解明することです。あらゆる細胞・組織は絶妙のコンビネーションで働き、呼吸、循環、消化吸収、排泄といった生理機能を営んでおり、それら生理機能は、動物の運動やコミュニケーション、さらにはヒトの精神活動にまで結びつけることができます。この絶妙のコンビネーションは、神経系・内分泌系・免疫系とそれらの相互作用により司られています。統合生理学教室ではいかにして生理機能が「統合」されているかの解明を目指しています。
脳には神経細胞(ニューロン)以外にグリア細胞(神経膠細胞)と呼ばれる細胞が存在しており、脳の正常な機能を行っています。グリア細胞には支持細胞として働くアストロサイト(星状膠細胞)、神経細胞の軸索を包む鞘(髄鞘)を作っているオリゴデンドロサイト(希突起細胞)、脳の免疫担当細胞であるミクログリア(小膠細胞)が存在します。これらのグリア細胞の機能が、脳の正常な機能に重要な役割を果たしているだけでなく、異常になった場合にはアルツハイマー病やパーキンソン病などの脳疾患の発症に関与する可能性も考えられています。統合生理学教室ではグリア細胞の機能変化に関する研究を行っています。
現在進められている研究テーマ
(1) 培養アストロサイト(星状膠細胞)による神経機能調節
(2) 培養ミクログリア(脳マクロファージ)の機能変化
(3) 神経炎症に関わるグリア細胞の機能変化
(4) 架橋結合酵素トランスグルタミナーゼによるグリア細胞の機能調節
(5) シトリン欠損症の病態解析と治療法の開発