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2023年11月16日

Published in the Journal of Veterinary Medical Science: Pleural mesothelioma in a California sea lion (Zalophus californianus).

大学院生の高見さんの症例論文(カリフォルニアアシカにおける胸膜中皮腫の初報告)が、
The Journal of Veterinary Medical Science誌に掲載されました。
Takami Y, Tanaka M*, Morita M, Maruno T, Anai N, Sudo T, Kezuka C, Izawa T, Yamate J, Kuwamura M
Pleural mesothelioma in a California sea lion (Zalophus californianus).
J Vet Med Sci 85(9):1030-1033, 2023. https://doi.org/10.1292/jvms.22-0457
 
肉目アシカ科のカリフォルニアアシカは、日本の動物園や水族館で多く飼育されている動物で、腫瘍発生が多いことでも知られています。
今回、この動物種において、胸膜中皮腫という腫瘍の発生を初めて報告しました。
中皮腫は腹腔や胸腔を裏打ちする中皮細胞より発生する腫瘍で、犬や牛で報告がありますが野生動物では稀です。
本症例は水族館で飼育されていた雌、25歳のカリフォルニアアシカで、食欲不振を呈し亡くなったため、当教室にて解剖を行いました。
解剖時、胸膜および肺に15 mm大の黄白色結節が密発していました。結節部分について病理組織学的検査を実施したところ、HE染色像において、胸膜と連続して、異型性の高い豊富な好酸性細胞質を持つ紡錘形の細胞の多結節性の増殖が見られました。腫瘍細胞は免疫染色で上皮系・間葉系マーカーに陽性を示し、以上の所見から本症例を胸膜中皮腫と診断しました。
今回の胸膜中皮腫の播種性結節は、人獣共通感染症である結核の粟粒状結節と類似しており、これらの鑑別が重要です。
また、本症例は他部位にも複数の腫瘍が見つかっており、カリフォルニアアシカの疾病診断の際には腫瘍の発生も考慮する必要があると考えられます。