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2025年1月2日

Published in Journal of Toxicologic Pathology: Comparative anatomy of respiratory bronchioles and lobular structures in mammals

当教室の井澤が共同筆頭著者となる多施設共同による総説論文(30種を超える哺乳類の肺臓器の種-横断的比較〜ブタ,ヤギなど偶蹄類はヒトの肺疾患モデル動物として魅力的?〜)が,Journal of Toxicologic Pathology誌に掲載(早期公開)されました。

Umeda Y, Izawa T(co-first author), Kazama K, Arai S, Kamiie J, Nakamura S, Hano K, Takasu M, Hirata A, Rittinghausen S, Yamano S
Comparative anatomy of respiratory bronchioles and lobular structures in mammals.
J Toxicol Pathol (in press). https://doi.org/10.1293/tox.2024-0071

COVID19の世界的感染拡大により,肺は生命活動の維持に極めて重要な臓器であることが再認識されました。我々哺乳類は多種多様な生活様式で陸上や水中で活動していますが,肺臓器の構造に違い(種差)はあるのでしょうか?本研究では,大阪公立大学獣医病理学教室でこれまでに蓄積してきた病理検体を中心に,麻布大学獣医学部,岐阜大学,労働安全衛生総合研究所,ドイツフラウンホーファーITIMを含む多施設に跨った共同研究体制を構築し,30種を超える動物の肺臓器の肉眼像および病理組織像を比較観察しました。その結果,ヒトの肺疾患の発症において重要な部位として知られる「呼吸細気管支」と「小葉構造(小葉間隔壁により区画される機能単位)」の有無やその量について,哺乳類間で大きく違うことが明らかになりました。特にブタやヤギ等の肺では上記構造が我々ヒトに非常に類似している事が明らかとなりました。このような哺乳類,またはそれを超えた脊椎動物全般を包括的に見渡し,幅広い視座で研究できることは,獣医学,さらには獣医病理学の醍醐味であり特色です。研究活動により,獣医学・医学・進化学などサイエンスの発展に貢献することを獣医病理学教室では大切にしています。